2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J07736
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
伏屋 健吾 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / Sm化合物 / 磁場誘起電荷秩序 / 部分無秩序 / 幾何学的フラストレーション / イジング異方性 / 充填スクッテルダイト / カゴ状化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、Smイオンがもたらす特異な強相関電子物性の探索を、Smサイトの持つ局所対称性に着目して行った。①高い局所対称性がf電子の縮重度をもたらす充填スクッテルダイトSmRu4P12と、②低い局所対称性により軌道自由度による縮退がなく大きな磁気異方性を持つ正方晶1-2-2化合物を中心に、幅広く基礎物性を調べ、以下の新奇物性を発見した。 ①SmRu4P12の純良単結晶を育成し、それを用いた放射光共同実験により、「磁場誘起電荷秩序」の新奇現象を世界で初めて観測した。2つの秩序相の存在の可能性が過去の研究により指摘されていたが、単結晶を用いた磁化と比熱の精密測定により、磁場温度相図の実験的確定に初めて成功した。その結果、2つの相が低磁場領域で連続的につながっており、高磁場中で磁気的異方性が顕著に発達していることを明らかにした。この発見は、今後の磁場誘起電荷秩序の理論モデル構築において、重要な制限を与える。また電子輸送測定により、少数キャリアポケットが残る補償半金属状態にあることを見出した。 ②SmPt2Si2の単結晶育成に世界で初めて成功し、その低温物性測定から、2つの磁気秩序相を発見した。パルス強磁場測定を組み合わせ、磁場温度相図を決定し、完全イジング磁気異方性を持つ結晶場基底状態を確定した。本系におけるもっとも重要な発見は、反強磁性状態であるにも関わらず、磁化率が低温増大する磁性異常である(約70%ものSm磁気モーメントが無秩序の状態にあることを示唆)。この相内で観測された大きな電子比熱係数は、部分無秩序Smサイト上を重い有効質量を獲得した準粒子が遍歴する「近藤副格子」の形成の可能性を示唆している。過去に前例のない複合強相関電子状態を研究する上で、本系が重要な候補物質であることを指摘した(日本物理学会欧文誌の注目論文に選出)。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Logarithmic temperature dependence of Sm ion valence in heavy fermion SmxLa1-xOs4Sb122015
Author(s)
K. Fushiya, R. Miyazaki, R. Higashinaka, A. Yamada, M. Mizumaki, S. Tsutsui, K. Nitta, T. Uruga, B. Suemitsu, H. Sato, and Y. Aoki
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Journal Title
PHYSICAL REVIEW B
Volume: 92
Pages: 075118-1~-5
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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