2015 Fiscal Year Annual Research Report
一次構造制御されたポリヒドロキシアルカン酸のワンポット合成法の開発
Project/Area Number |
15J07739
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
百武 真奈美 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ポリヒドロキシアルカン酸 / PHA重合酵素 / バイオポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、再生可能資源から微生物発酵により合成されるポリエステルであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)をターゲットにしており、構造制御されたPHAの微生物合成を目指す。 これまでの研究において、バチルス属由来PHA重合酵素(PhaRC)を発現する遺伝子組換え株を用いることで、特定の官能基をカルボキシ末端に有するPHAの生合成が可能となることを確認している。本研究ではこの末端官能基を用いて構造制御されたPHAを生合成することを目指している。本年度は、官能基を用いた構造制御の実現にあたり、末端官能基が高い反応性を示す分子量範囲の特定を試みた。 触媒としてp-トルエンスルホン酸、エチニル基導入のための基質として2-プロピン-1-オールを用いてPHAをアルコーリシスすることにより、カルボキシ末端にエチニル基を有する低分子量PHAを化学合成した。エチニル基はPhaRCを用いたPHA合成においてカルボキシ末端に導入されることが確認されているため、今回選択した。アルコーリシス時の反応温度と反応時間を調節することにより分子量の異なるサンプルを複数作成し、アジド化合物とクリック反応させNMRにより末端エチニル基の置換率を算出した。その結果、数平均分子量1~2万程度まで低分子量化させれば、置換率が80%以上になることを確認した。 今後、数平均分子量1~2万の末端修飾PHAの微生物合成を試み、生合成PHAにおいても同様な置換率を示すか調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は末端反応性の高い分子量範囲について調査し、数平均分子量1~2万程度であれば、PHA末端に付与したエチニル基が高い置換率を示すことを確認した。この分子量範囲を有するPHAの生合成条件については現在検討途中としているが、生産性との兼ね合いを含め検討したいためであり、分子量を達成する培養条件は見つかっている。このため、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
検討途中である、反応性の高い分子量を有するPHAの生合成について引き続き取り組む。この実験は今後、構造制御されたPHAの合成と収率に大きく影響するため、入念に検討を行う予定である。 また、今年度検討したクリック反応の条件を生かして、PHA部分の分子量が等しく末端構造の異なるPHAを作成し、物性評価を行う。有用性の高い構造を明らかにできれば、その構造を生合成において末端に付与することを試みる。
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Research Products
(4 results)