2015 Fiscal Year Annual Research Report
広葉樹の傾斜刺激に伴う樹体支持戦略の確立に寄与する組織学的、化学的特徴の解明
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15J07931
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
相蘇 春菜 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | あて材 / 広葉樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、平成27年度、無道管被子植物であるスイセイジュあて材の組織構造およびリグニン分布について、精力的に研究を行った。この研究により得られた成果は、申請者がこれまでに提案してきた広葉樹あて材とリグニンの性質の関係を支持するものであった。得られた成果は、申請者自身が英語で論文を執筆し、木材組織学の国際誌である、IAWA Journalに投稿し、すでに受理されている。また、熱帯早生樹である、Acacia auriculiformisおよびFalcataria moluccanaのあて材に関しても研究に取り組み、その成果は、熱帯生態学の国際誌であるTropicsに受理された。さらに、現在取り組んでいるグネモンノキなどの熱帯あて材に関する成果も第25回日本熱帯生態学会および第66回日本木材学会などに精力的に発表している。これら広葉樹あて材の組織学的、化学的性質の解明に関する研究は、学会でも高く評価されており、2016年1月には、第2回日本木材学会優秀女子学生賞を受賞した。この他にも、2015年度には、共著論文6編、国内学会発表9件、著書(共著)1件などの業績を挙げた。現在は、グネモンノキのあて材について論文を執筆するとともに、ツツジ科の数種の樹木について、あて材の組織構造およびリグニン分布について実験を進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者は、現在までに、無道管被子植物であるスイセイジュおよび裸子植物であるグネモンノキのあて材の組織構造およびリグニン分布について、研究を進めている。いずれの樹種においても、実験はすでに終了しており、これらの研究により得られた成果は、申請者がこれまでに提案してきた広葉樹あて材とリグニンの性質の関係を支持するものであった。スイセイジュあて材については、申請者自身が得られた結果をとりまとめて、論文を執筆し、国際誌であるIAWA Journalに投稿し、既に受理されている。また、グネモンノキのあて材について得られた結果は、第66回日本木材学会で申請者自身が口頭発表した。現在は、グネモンノキのあて材について、論文を執筆している。 熱帯早生樹である、Acacia auriculiformisおよびFalcataria moluccanaのあて材に関しても研究に取り組み、その成果は、熱帯生態学の国際誌であるTropicsに受理された。これらの広葉樹あて材の組織学的、化学的性質の解明に関する研究は、学会でも高く評価されており、2016年1月には、第2回日本木材学会優秀女子学生賞を受賞した。この他にも、2015年度には、共著論文6編、国内学会発表9件、著書(共著)1件などの業績を挙げた。 以上のことから、申請者の研究における進捗状況は、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者の研究により、広葉樹におけるあて材形成は、細胞壁中のリグニン構成単位の割合の違いと関係している可能性があることが明らかになってきている。これまでに報告広葉樹あて材に関する研究は、多糖類に焦点を当てたものが多い。しかしながら、広葉樹あて材形成において、リグニンの役割を解明することを目的とした研究はそれほど多くない。従って、広葉樹あて材におけるリグニンの役割を解明するためには、より多くの樹種についてあて材形成に伴うリグニン分布の変化を解明する必要がある。以上のことから、今年度は、特異的なあて材を形成すると考えられるツツジ科に分類される6種の広葉樹について、組織構造およびリグニン分布を調査することとした。
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Research Products
(5 results)