2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害における機能再組織化の神経機構に関する研究
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15J08035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
門馬 更夢 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 脳梗塞後の機能再組織化 / 梗塞反対側運動野 / リーチング動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は脳梗塞後の麻痺上肢運動機能訓練により引き起こされる梗塞反対側運動野を中心とした神経回路の形態学的変化を明らかにすることを目的におこなった。また、これまでの研究で確立してきたラット梗塞モデルにおいて、梗塞後の麻痺上肢運動機能をより定量的に評価できるシステムの開発もおこなった。 システムの開発には三次元動作解析装置を用い、ラットが麻痺上肢を使用してリーチング動作をおこなっている際の関節角度を測定できることが可能になった。また、従来の研究でよく用いられているリーチング動作時の上肢軌跡も測定することもできた。これらの技術を用いることにより、梗塞前後における麻痺上肢運動機能の経時的変化をより定量的に評価することが可能となった。 形態学的変化を可視化するために、他研究室の協力のもと、順行性ウイルストレーサーを作製し、麻痺上肢運動機能回復後のラット梗塞反対側運動野に注入した。また、それらのウイルスに感染した細胞が作製するEGFPを高感度で標識するために、適切な免疫組織化学法の検討をおこなった。その結果、従来の順行性トレーサーの半分の生存期間で脊髄までの神経回路が可視化することが可能となった。また、従来のものよりもシグナルが強く、脊髄におけるニューロンの形態も明瞭に可視化することができた。 現在、訓練群・非訓練群・Sham群の3群間における脳梗塞前後の麻痺上肢関節角度と軌跡の変化、神経回路の形態学的変化についてのデータを収集・解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は麻痺上肢運動機能回復に関与していると考えられる梗塞反対側運動野に起始する神経回路の形態学的特徴を解明することを目的とした。その結果、他研究室の協力のもと高感度の順行性ウイルストレーサーを梗塞反対側運動野に注入し、脊髄に至るまでの神経回路の詳細を可視化することに成功した。また、それらの神経回路の形態学的変化と麻痺上肢運動機能回復の関係性を解明するために、麻痺上肢運動機能の詳細を評価できるシステムを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は順行性ウイルストレーサーを用いて神経回路の形態学的特徴データを取得・解析し、訓練群・非訓練群・Sham群の3群で比較を行う。その後、麻痺上肢運動機能評価システムで取得したデータの解析・比較も行い、形態学的特徴と麻痺上肢運動機能回復の関係性を明らかにしていく。そして、それらの結果を統合し、学会にて発表する予定である。 また、電気生理学的手法を用いて、形態学的変化が観察された神経回路の機能的特徴も解明していくことも検討している。
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