2015 Fiscal Year Annual Research Report
光を用いた音響測定における二次元測定データからの三次元音場復元
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15J08043
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
矢田部 浩平 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 位相シフト干渉法 / ノイズ除去 / 位相アンラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,二次元測定データを得ることのできる光学的音響測定システム自体を発展させることを目的とした.偏光高速度干渉計を用いて音場の二次元投影を瞬時に得る際に,空間的な干渉を用いることによって二次元位相データを扱う必要あるので,その復元処理に取り組んだ. 偏光高速度干渉計は,並列位相シフト干渉法と偏光高速度カメラを組み合わせた干渉計であり,媒質密度の空間的二次元分布を瞬時かつ定量的に計測することができる.そのような高度に洗練された測定系を音響計測に使用できることによる利点は非常に大きいが,一方でこれまで考える必要のなかった干渉計特有の問題を解決する必要がでてきた.すなわち,観測が空間的な干渉縞として観測されるので,得られたデータを干渉縞から位相の情報に変換し,さらに位相アンラップと呼ばれる逆問題を解く必要がある.位相アンラップに誤りが存在すると,その後の音響信号処理に多大な悪影響を及ぼす. そこで,偏光高速度干渉計を用いた計測に対する信号処理を主に扱った.まずは,スピーカによる既知の音場に対する測定実験を行い,定量性やノイズの性質など偏光高速度干渉計を音場に適用した際の挙動を調べた.それらの結果に基づいて,干渉計によって得られたデータに対する信号処理手法について検討した.特に,ノイズの存在が位相アンラップを顕著に困難にするので,位相アンラップを行う前にそれらを除去する,観測データのノイズ除去に取り組んだ.さらに,位相シフト干渉法に特有な四枚の干渉画像を同時に計測する方法に着目し,イメージセンサの観測過程を定式化することで,上記提案手法を位相シフト干渉法に対してより効果的な手法に拡張した.その結果,10 dB以上SN比を改善することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで取り組んでいたレーザを用いた音響計測に加え,偏光高速度干渉計を用いた音響計測に取り組み,音場の二次元投影データを得ることが可能なシステムを構築した.特に測定データに対する信号処理において理論の構築と数値実験による評価,さらに実装を行った.当初の計画で予定していたシュリーレン法に基づく測定系では,物理現象の観測過程に微分が含まれており,それが本研究課題が目標としている可聴音の測定を困難にしていた.一方,偏光光学干渉計を用いた測定系を導入したことで,そのような微分が存在しない計測を行うことができるようになり,本研究課題の最終目標に本質的に近づいたと言える.また,測定系を変更したことによって生じた差異に適応した新たな信号処理に取り組み,得られた成果を論文誌に投稿した.これらの成果は,次年度の課題である三次元音場復元の目標達成のための基礎になるものであり,着実に目標達成に向かっている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在は,干渉計測データの空間的位相分布のみに着目した処理を提案しているが,今後は時間的な変化も考慮した処理について検討していく.また,観測対象が音であることを先験情報として導入し,更なるアルゴリズムの高度化を目指す.それに伴い,音響モデルや光路上の積分が都合よく計算できるような波動方程式の解空間の表現方法についても検討する.それらの結果を踏まえた上で,本研究テーマの主題である二次元データからの三次元音場の復元に取り組み,新たな音響計測手法の実現を目指していく所存である.
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Research Products
(28 results)