2015 Fiscal Year Annual Research Report
シグナルペプチド分解に関わる膜プロテアーゼRsePの構造・機能解析
Project/Area Number |
15J08129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武本 瑞貴 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | RseP / 膜プロテアーゼ / チャネルロドプシン / MDシミュレーション / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タンパク質の膜透過の際に用いられるシグナルペプチドを分解する膜内プロテアーゼであるRsePに着目し、X線結晶構造解析を用いることでRsePの基質結合機構や、基質切断メカニズムを原子分解能で明らかにすることを目指している。結晶化に適したRsePの生物種スクリーニングの後に、可溶化時の界面活性剤やバッファー条件の検討を行い、精製系の確立を行った。この精製RsePを用いてLCP法による結晶化を行ったところ、SPring-8における回折実験において、予備的なデータセットを得ることができた。今後、さらなる分解能の向上や、分子置換法や重原子による異常分散を用いた位相決定法により、RsePの結晶構造を決定することを目指す。 本年度はまた、光駆動性陽イオンチャネルであるチャネルロドプシンのMDシミュレーションによる解析も行った。チャネルロドプシン(ChR)は青色光の照射によってチャネルを開口させて陽イオンを透過させるロドプシンファミリータンパク質の1種であり、近年光遺伝学のツールとして大きな注目を集めている膜タンパク質である。しかしそのツールとしての利用の広がりとは裏腹に、ChR自身の動作メカニズムの構造基盤は明らかになっていなかった。申請者は、MDシミュレーションによる解析と、共同研究による電気生理学的解析により、ChRに広く保存されている2つのグルタミン酸残基Glu122とGlu129の役割が明らかになった。また、レチナールの異性化によるタンパク質の構造変化もMDシミュレーションによって捉え、ChRの光サイクルの最初期に起こる構造変化を観察することができた。本研究成果をまとめた論文は、PLOS ONE誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ターゲットとなるタンパク質の生物種や発現・精製条件の検討を行い、予備的なデータセットを得ることができているという点で、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
得られている精製タンパク質に対して結晶化に用いる脂質や最終状態における界面活性剤、および結晶化条件を検討することによって、より高分解能のデータセットを得ることを目指す。また、水銀やセレノメチオニンによる異常分散を用いた位相決定法のための条件検討を行う。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Molecular Dynamics of Channelrhodopsin at the Early Stages of Channel Opening2015
Author(s)
Takemoto, M., H.E. Kato, M. Koyama, J. Ito, M. Kamiya, S. Hayashi, A.D. Maturana, K. Deisseroth, R. Ishitani, and O. Nureki
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 10
Pages: e0131094
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Structural basis for Na+ transport mechanism by a light-driven Na+ pump. Nature2015
Author(s)
Kato, H.E., K. Inoue, R. Abe-Yoshizumi, Y. Kato, H. Ono, M. Konno, S. Hososhima, T. Ishizuka, M.R. Hoque, H. Kunitomo, J. Ito, S. Yoshizawa, K. Yamashita, M. Takemoto, T. Nishizawa, R. Taniguchi, K. Kogure, A.D. Maturana, Y. Iino, H. Yawo, R. Ishitani, H. Kandori, and O. Nureki
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Journal Title
Nature
Volume: 521
Pages: 48-53
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Crystal Structures of SecYEG in Lipidic Cubic Phase Elucidate a Precise Resting and a Peptide-Bound State2015
Author(s)
Tanaka, Y., Y. Sugano, M. Takemoto, T. Mori, A. Furukawa, T. Kusakizako, K. Kumazaki, A. Kashima, R. Ishitani, Y. Sugita, O. Nureki, and T. Tsukazaki
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Journal Title
Cell Report
Volume: 13
Pages: 1561-1568
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Molecular Dynamics of Channelrhodopsin at the Early Stages of Channel Opening2015
Author(s)
Takemoto, M., H.E. Kato, M. Koyama, J. Ito, M. Kamiya, S. Hayashi, A.D. Maturana, K. Deisseroth, R. Ishitani, and O. Nureki
Organizer
日本生物物理学会第53回年会
Place of Presentation
金沢大学角間キャンパス (日本 石川県金沢市角間町)
Year and Date
2015-09-13