2015 Fiscal Year Annual Research Report
シナプスの可塑的形態変化におけるRhoA/Cdc42活性化の時空間制御機構
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15J08240
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柴田 明裕 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ShadowG / Cdc42 / TCGAP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シナプス可塑性のメカニズムを後シナプス内のシグナル伝達の観点から明らかにする。このために、2光子蛍光寿命イメージング顕微鏡(2pFLIM-FRET)を用いてシグナル分子活性化FRETイメージングを行う。特に、シナプス内アクチン制御分子であるCdc42に着目し、これらの分子の活性化機構を明らかにする。具体的には、シナプス内でのCdc42の活性化とその活性化因子(GEF)または不活化因子(GAP)を2pFLIM-FRETで同時に観察(緑色波長域でCdc42の活性化、赤色波長域でGEFを観察)することを試みている。 平成27年度は、緑色波長域でCdc42の活性化を高感度・高精度に捉えるためのFRETアクセプターの開発を行った。既に報告のある無蛍光の蛍光タンパク質(sREACh)を鋳型としてランダム変異導入を行った。実験の結果いくつかの変異体が得られ、それらの蛍光スペクトルやフォールディング効率等を調べることで、sREAChよりも優れた蛍光特性をもつ無蛍光蛍光タンパク質(ShadowG)を同定することができた。 FRETアクセプターとしてのShadowGの性能を詳しく調べるため、既存のFRETセンサーにShadowGを適用して、従来我々が用いてきたアクセプター(mCherry、sREACh)と比較した。具体的には、青色光に反応して構造変化を起こすPhototropin1由来のLOV2 に蛍光タンパク質を融合したFRETセンサーを作製した。これらをHeLa細胞に発現させ、青色光照射によるFRET変化量を比較したところ、ShadowGはmCherryの2倍の変化量を示しており、sREAChと同等の感度を有していた。次に、個々の細胞での変化量のバラツキを調べたところ、ShadowGを用いたセンサーはmCherryやsREAChよりもはるかにバラツキが少なかった。すなわち、ShadowGを用いることで、高精度にFRET反応を捉えることが分かった。次に、同様の実験をCdc42のFRETセンサーについても行ったところ、LOV2センサーと同様の結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、高感度かつ高精度なFRETアクセプターである無蛍光蛍光タンパク質ShadowGの開発に成功した。さらに、Cdc42のFRETセンサーにShadowGを適用させた結果、従来のFRETアクセプターであるmCherryより高い感度を有していることが分かった。ShadowGの特徴の一つは、EGFPとのFRETを緑色波長域のみで観察できることである。これによって赤色波長域をCdc42のGEF/GAPの可視化に利用することができる。つまり、Cdc42活性とGEF/GAPの同時観察を行うことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降は、先ず、シナプス内に局在しているGEFおよびGAPをスクリーニングする。それには、非常に多くの種類(各50種以上)があるGEFとGAPの中から、脳組織に発現しており尚且つCdc42と作用するものに的を絞る。次に、2pFLIM-FRETを用いて、ケージドグルタミン酸によるシナプス長期増強の誘発時のCdc42活性とGEF/GAPの同時観察を行う。
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Research Products
(8 results)