2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J08278
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮坂 まみ 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | AD/HD / ASD / 抑制機能 / 報酬系機能 / 報酬 / 罰 |
Outline of Annual Research Achievements |
AD/HD(注意欠陥/多動性障害)のアセスメントは主に面接と質問紙を用いて行われ,観察者の主観に依存する。AD/HDとASD(自閉症スペクトラム)は類似した併存症状を呈し,区別が難しい。しかし両者の適切な介入法は異なることから,正確なアセスメントが求められる。客観的に測定可能なアセスメント法を作成するためにはAD/HDの病態メカニズムを解明することが重要であることから,心理学的アプローチを用いて病態メカニズムの解明を目指した。また,ここ数年で愛着障害がAD/HDと類似した抑制機能の問題を呈する可能性が示唆され始めていることから,愛着の問題と抑制機能の関連についても検討した。 まず,日本の心理臨床におけるASDの過剰診断の可能性を確認するため,こころの支援に関わる専門家や保護者を対象として発達障害等に関する理解を調査した。本研究は,発達障害を含むこころや行動上の問題の支援に重要な役割を担う専門家や保護者側の特性を知るものであり,基礎研究の結果を実践につなぎやすくする一助となると考える。 続いて,AD/HDのある児童の抑制機能に対する報酬と罰の効果を検討するため,AD/HDのある児童を対象として実験を実施している。本実験は現在順調に進行している。 さらに,AD/HDと類似した対人的な衝動性を示す愛着障害とAD/HDとを対比させることでAD/HDへの理解が深まると考え,成人を対象に,抑制を含む実行機能の複数のコンポーネントと愛着との関連を検討している。本研究の実施は終了し,現在分析段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AD/HDのある児童を対象とした実験にかかる課題は順調に作成され,本研究課題を遂行するために必要な行動指標を抽出するための準備を整えた。一方,より児童の特性を正確に把握するために必要な行動指標以外の情報の収集にあたって幾つかの問題について協力機関との検討に時間を要し,参加者の募集開始が遅れた。しかしながら,これはより精度の高いデータを収集するために必要なコストであったと考えられる。 この問題はすでに解決されており,当初より遅れながらもAD/HDのある児童を対象とした実験を開始している。また,愛着の問題と実行機能についての実験および一部の分析を終えるところまで進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,AD/HD診断のある児童とない児童を対象とした実験を実施し,データの収集と分析を重点的に実施する見通しである。加えて,昨年度に得た研究結果を学会で報告するとともに論文を執筆・投稿する。
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Research Products
(2 results)