2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J08278
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮坂 まみ 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 反応抑制 / 金銭 / 非金銭 / フィードバック / AD/HD / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.注意欠陥/多動性障害(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder: AD/HD)の診断について:まず,日本の心理臨床における自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder: ASD)の過剰診断の可能性を確認するために児童を取り巻く大人を対象として昨年までに行った調査研究について,論文執筆を終え,現在投稿手続きを進めている。 2.健康な児童・青年の抑制機能に及ぼす報酬と罰の効果の発達的変化:8歳から15歳の児童・青年を対象に反応抑制を測定する行動実験2種を行った。行動実験は,パフォーマンスに応じた報酬と罰を設定したものであり(すなわち,成功に対するポイントの加算,失敗に対するポイントの減少),報酬と罰には金銭的なタイプと非金銭的なタイプ(他者との比較によるランキング)の2種類があった。本研究の解析を終え,国際大会にて発表を行った。論文の執筆を終え,現在投稿手続きを進めている。 3.AD/HD診断のある児童・青年の抑制機能に及ぼす報酬と罰の効果の発達的変化:AD/HDのある児童・青年(以下AD/HD児)の抑制機能に対する報酬と罰の効果を検討するため,7歳から15歳の男児を対象に,上記2と同様の手続きで行動実験を行った。本研究の解析・考察を終え,論文の執筆は順調に進んでいる。 4.AD/HD診断のある児童・青年の抑制機能に及ぼす報酬と罰の効果の発達的変化(縦断研究):発達的な効果を検討するため,上記2,3と類似した方法で縦断データの1時点目を取り終えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,報酬・罰が反応抑制に及ぼする効果及び発達的な変化について定型発達の児童及びAD/HDのある児童を対象に検討することができており,課題は順調に遂行されている。しかし,これらの研究は横断研究であり,発達的な効果についての妥当性の低さは否めない。そこで,ここで見出された結果の詳細を検討するために研究計画において縦断研究を予定した。この第1段階を終了しており,来年度に2時点目を取得する準備ができている。 また,昨年度実施した研究について論文を完成させることができた。今年度行った研究についても解析は終了しており,執筆状況は順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,本年度取得した縦断データ1時点目に対応する2時点目のデータを取得・解析し,学会において他の研究者との議論の上,論文の執筆を進める。 また,今年見出された報酬・罰が反応抑制に及ぼする効果についての神経基盤の解明にも試みる予定である。このための設備はすでに整っており,実験準備も順調に進んでいる。
|
Research Products
(1 results)