2016 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解光電子分光による高温超伝導体Bi2212の擬ギャップの解明
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15J08279
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 大 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 時間分解光電子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
銅酸化物高温超伝導体は比較的高温で超伝導転移する物質であり、その超伝導の起源を電子構造から理解する試みは精力的に行われているものの、その物理の多くが未知という現状がある。 本研究目標は銅酸化物高温超伝導体の電子構造に発生する擬ギャップの時間変化について、フェムト秒パルスレーザーによるポンプ・プローブ法を用いて時間および角度分解型の光電子分光を行い、その動的過程を観測することで電子系の過渡状態を観測し、電子構造の理解を深めることにある。 1年目ではレーザーの技術とポンプ・プローブ法による計測を習熟した。 2年目(本年度)では得られた測定データを解析することで雑音に埋もれた信号(光電子強度)の中から物理を抽出する試みを行ってきた。高次高調波を用いた計測は一般に、試料に到達する光強度の弱さ等によって雑音に埋もれやすいことが知られているが、とりわけ銅酸化物高温超伝導体の測定は得たい光電子強度が弱く、多光子光電子や二次電子等の雑音に埋もれてデータを取り出すのが難しい。測定効率が悪いので長時間測定を避けることができないが、ポンプ・プローブ法による測定は非常に光の入射位置に敏感な測定であり、長く時間をかけて測定することも難しいという問題があった。そこで我々は光強度の安定化と測定系の機械的安定のための工夫に注力してより質の高いデータを求めて測定を続けている。加えて、測定結果から雑音を分離する為に解析手法も研究している段階である。以上の取り組みから得られている結果をまとめて、研究の現状を日本物理学会の秋季大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度では銅酸化物高温超伝導体Bi2212における時間分解光電子分光のデータが整いはじめ、その現状を日本物理学会 第71回年次大会(於 金沢大学)で報告している。本筋の研究に進展があるだけでなく、新奇物性を持つグラフェンや鉄系超伝導体Ba122についても東大・岡崎研、松田研、藤森研と共同研究を進めており、それらの論文はすでに投稿済み/掲載済みのものもある。
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Strategy for Future Research Activity |
主題である銅酸化物高温超伝導体だけでなく、本研究手法を用いて他の強相関電子系を調べることで相補的に物理を理解することを目標に、グラフェン(東大物性研・松田研)と鉄系超伝導体Ba122(東大理・藤森研)の測定も継続する。前者はポンプ・プローブ法を用いた時間分解光電子分光が盛んに行われている試料であり、解析手法等の知識が比較的蓄積されている。そこで培われている技術を手本にしながら主題である銅酸化物高温超伝導体におけるデータの解析手法の研究も進める。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Suppression of supercollision carrier cooling in high mobility graphene on SiC(0001)2017
Author(s)
Takashi Someya, Hirokazu Fukidome, Hiroshi Watanabe, Takashi Yamamoto, Masaru Okada, Hakuto Suzuki, Yu Ogawa, Takushi Iimori, Nobuhisa Ishii, Teruto Kanai, Keiichiro Tashima, Baojie Feng, Susumu Yamamoto, Jiro Itatani, Fumio Komori, Kozo Okazaki, Shik Shin, and Iwao Matsuda
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Journal Title
PHYSICAL REVIEW B
Volume: 95
Pages: 165303
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 高次高調波レーザーを用いたフェムト秒時間分解ARPESによる銅酸化物高温超伝導体Bi2212の準粒子ダイナミクスの直接観測2016
Author(s)
岡田大, 岡崎浩三, 鈴木博人, 山本貴士, 染谷隆史, 小川優, 近藤猛, 笹川崇男, 藤澤正美, 金井輝人, 石井順久, 板谷治郎, 辛埴
Organizer
日本物理学会2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学(石川県金沢市)
Year and Date
2016-09-15 – 2016-09-15