2015 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス粒子内における8種類のRNPの配置の解明
Project/Area Number |
15J08301
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中津 寿実保 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | インフルエンザウイルス / ゲノムパッケージング / 透過型電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
Defective interfering (DI)ウイルスは、DI RNA分節を取り込んだ非感染性のウイルス粒子である。DI RNAはinternal regionが欠損し、3', 5'末端のみしかもたない塩基数の短いRNAである。これまでにDIウイルスは、培養細胞でHigh MOIでの継代を繰り返すことで出現しやすいとされてきた (von Magnus et al., Adv Virus Res, 1954)。さらにDIウイルスが出現するとウイルスタイタ―が落ちることから、DIウイルスが感染性ウイルス粒子の産生を妨げることが報告されている(Nayak DP et al., Curr Top Microbiol Immunol, 1985)。しかし、DIウイルスが感染性ウイルス粒子の産生を妨げる詳細な機構については明らかになっていない。近年、感染個体内にもDIウイルスが出現することが報告されたことから、DIウイルスは生体内で何らかの機能を持っていることが考えられる (Saira et al., J Virol, 2013)。そこで本研究は、DIウイルスのゲノムパッケージング機構を明らかにすることで、DIウイルスの存在意義を解明することを目的とする。 本年度は計画通り、5種類のDIウイルスを作製し、電子線トモグラフィーを試みた。その結果、DIウイルスは野生型ウイルスと異なり、ウイルス粒子内に取り込まれているRNPの本数が少ない傾向が見られた。このことから、DIウイルスのDIセグメントが、ウイルスの選択的なRNPの取り込みに影響している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DIウイルス粒子の電子線トモグラフィーでは、電子線のダメージが強く出てしまい、三次元再構築可能なウイルス粒子の頻度が低くなってしまったことから、本研究では当初予定していたよりも、進行が遅れてしまった。 さらに、本年度はドイツへ研究留学をしており、半年の間、別テーマの研究(クライオ電子顕微鏡を用いたインフルエンザウイルスの解析)を行った。 このことから、当初予期していたよりも、研究の進捗が遅れてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は電子線トモグラフィーによる観察の効率を上げるために、最適な電子線トモグラフィーの条件を検討する。さらに、用いるDIセグメントの塩基数によって、DIウイルスのゲノムパッケージングが影響を受けるのかを調べる。 さらに、ドイツで取得したデータを解析についても解析を進め、インフルエンザウイルスのゲノムパッケージング機構を明らかにしていきたいと考えている。
|
Research Products
(1 results)