2015 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的ゲノム解析によるショウジョウバエの寄生蜂抵抗性分子基盤の解明
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15J08326
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
滝ヶ平 智博 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 寄生蜂 / 抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウジョウバエ集団内および集団間でみられる捕食寄生蜂に対する抵抗性変異の分子基盤を解明するため,抵抗性メカニズムの異なるキイロショウジョウバエとフタクシショウジョウバエの2種を対象に寄生蜂抵抗性に関与する候補遺伝子を決定するための実験を実施した. キイロショウジョウバエでは,ゲノムワイド関連解析による候補遺伝子特定のため,局所集団由来のゲノム解読済み近交系統を対象に,寄生蜂3種に対する抵抗性スクリーニングを実施した.寄生蜂Leptopilina victoriaeとAsobara pleuralisに対するスクリーニングは,これまでに約70系統分を完了し,系統間に両種に対する抵抗性変異が存在することが明らかになった.また,予備解析では抵抗性と関連する一遺伝子多型が複数検出された.今後新たに系統数を追加して解析することにより,両寄生蜂種に対する抵抗性の分子基盤が解明できると期待できる.寄生蜂Asobara japonicaに対するスクリーニングは予定の140系統分を完了し,全系統が抵抗性を持たないことが明らかになった.一方で,利用宿主系統によって寄生成功率が異なったことから,これについて解析を行うことで,捕食寄生者の寄生成功率に影響する宿主遺伝基盤の解明も期待できる. フタクシショウジョウバエでは,次世代シーケンサーを用いた遺伝解析を行うために,寄生蜂L. victoriaeに対する抵抗性系統と感受性系統を用いたコンジェニック系統の作製を実施した.抵抗性に関与する遺伝領を絞り込むために15世代の戻し交配を計画していたが,実際には5世代ほどで抵抗性が低下し系統作製が困難になった.寄生による親宿主のパフォーマンス低下などがその一因と考えられるが,明確な原因は特定できなかった.そのため,現在は新たにQTL-seq法を用いたアプローチを計画し,予備実験を実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
キイロショウジョウバエをもちいたゲノムワイド関連解析は,計画変更が必要な問題等は生じていないが,抵抗性スクリーニングの進行が予定していたよりも遅れている(予定の70%程度完了)おり,フタクシショウジョウバエでは,候補遺伝子推定のためのコンジェニック系統の作製に問題が発生し,当初計画とは異なる手法での再アプローチが必要となったため.
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Strategy for Future Research Activity |
寄生蜂L. victoriae とA. pleuralis に対するキイロショウジョウバエ系統の抵抗性スクリーニングに引き続き取り組み,ゲノムワイド関連解析により候補遺伝子を決定する.その後,当初計画通りRNAi系統を用いて候補遺伝子のノックアウト解析を行う.フタクシショウジョウバエでは,当初計画していたコンジェニック系統の作製に問題が生じたため,計画を見直し,新たにQTL-seq解析による候補遺伝子推定を実施する.
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Research Products
(1 results)