2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代電気自動車駆動用モータのための超低振動制御系と機構構造の統合設計法の構築
Project/Area Number |
15J08374
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼松 正人 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 音振動抑制制御 / モータ制御 / 機構と制御の同時最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はあらゆるモータの体系的な低振動化手法確立のために,起振限である電磁力を記述する新しい数理モデルを構築し,そのモデルを通して超低振動化を実現するための体系化された構造設計法と制御アルゴリズム設計法の統合化を行うことを目的としていた。今年度は特に振動低減を実現するための高調波電流制御系に関して研究を行った。本研究で取り組んでいる一般化繰り返し制御という制御手法は、多目的な制御性能を達成出来る優れた手法であるが、オンラインでの再設計が難しいため可変速駆動に適してなかった。そこで本年度はデジタルフィルタ再設計手法を応用し、オンラインでの制御器再設計手法に関して研究を行った。この手法は事前に1つの一般化繰り返し制御器をオフラインにて設計し(プロトタイプ制御器)、モータの回転数が変化した際にはプロトタイプ制御器とモータの回転数変化の情報から一般化繰り返し制御器を再設計する手法である。この内容は、「35th Benelux Meeting on Systems and Control」にて発表を行った。 更に研究を進めるにつれてパラメータ変動がある際に、制御性能が劣化することが分かった。そこでベルギーの研究室に滞在した際に制御性能が劣化が最小となる制御器の設計手法に関して研究を行った。ベルギーの研究室にて提案された区分的な多項式を用いて凸最適化問題の近似解を得る手法を応用し、制御対象のパラメータ変動がある際に高性能な制御器を自動設計する手法を2つ提案した。1つはパラメータ変動がある際に、全てのパラメータ変動に対して1つの制御器にて制御性能を最大化する手法であり、もう1つはパラメータ変動が推定できる際に、個々のパラメータに応じて制御性能を最大化する制御器をパラメータの多項式にて実現する手法である。本手法はモータ制御のみにとどまらず広く産業機器に関して応用出来る可能性を秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はあらゆるモータの体系的な低振動化手法確立のために,起振限である電磁力を記述する新しい数理モデルを構築し,そのモデルを通して超低振動化を実現するための体系化された構造設計法と制御アルゴリズム設計法の統合化を行うことを目的としていた。 現在までの研究の進捗状況として、起振限である電磁力を記述する新しい数理モデルの構築に関しては順調に進捗しているが、制御アルゴリズムに関してはまだ考察の余地がある。まず研究として高調波電流制御系の性能改善に関する研究を行っていたが、注目していた一般化繰り返し制御という制御系がオンラインで再設計が難しい課題が発生したため、オンラインで再設計が容易なアルゴリズムの開発を行った。このアルゴリズムで外乱の周波数が変わった際の再設計が一部可能になったが、まだ改善の余地がある。更にパラメータ変動がある際に制御性能が劣化するという問題が生じ、そのためパラメータ変動がある際にどう制御系を設計するかが新たな課題となった。そこで、ベルギーの研究室とパラメータ変動がある際の制御系設計のための基礎検討を行い、良い成果が得られている。残る課題としては数値的な不安定性を回避するアルゴリズムを導入し、パラメータ変動時の制御系に関して考察を進める。構造設計法と制御アルゴリズム設計の統合化に関しては昨年度基礎検討を行ったため、おおよその見通しが立っている点で順調に進捗している。 以上のことから進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況を踏まえて、今後の研究の推進方針としては、まず高調波電流制御及びパラメータ変動がある場合の制御系設計手法に関してそれぞれ研究を行う。その後、2つの制御系を統合し、モータの低振動化のための制御系設計の基礎とする。特に高回転領域での高調波電流制御、可変速領域での高調波電流制御、パラメータ変動がある場合の高調波電流制御を含む制御器の設計手法の3点が具体的な制御としての課題として挙げられる。 制御系設計に対しての基礎を今年度の前半に完成させ、後半にはモータ設計と制御系の同時最適化の課題に取り組む。この課題は前述した区分的多項式を用いた手法にて同様に解決出来る見込みが有りその課題に取り組む。また同時最適化の効果検証のために電磁界解析によるモータ振動の解析と制御系解析ソフトウェアを組み合わせて同時最適化の効果検証を行い、実験も踏まえてモータの音振動低減のための基礎理論構築の検証を行う。
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Research Products
(4 results)