2016 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ信号処理に基づく非局所性フィルタリングを利用した画像復元手法
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15J08568
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小貫 真希 東京農工大学, 大学院生物システム応用科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | グラフ信号処理 / 多項式近似 / 近似誤差 / 重み付き二乗誤差 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,大規模行列における固有値の処理の効率的な計算手法について主に研究を行った.グラフ信号処理においては,グラフ構造を表現する際に隣接行列を用いる.そして,その隣接行列より導出されたグラフラプラシアン行列を用いて,グラフ周波数領域上でのフィルタリングを行う.実際に,グラフ周波数領域上でのフィルタリングは,グラフラプラシアン行列の固有値を処理(固有値フィルタリング)することで表現が可能である.しかし,グラフラプラシアン行列は大規模行列となる場合が多いため,グラフ周波数領域上でのフィルタリングは困難である.その理由として,グラフ信号処理で対象とする信号の数は非常に大きいことが挙げられる.グラフラプラシアン行列は,信号数に依存して大きさが決定されるため,数が大きい信号を対象とする場合は大規模な行列になる.そのため,グラフラプラシアン行列の固有値分解には膨大な時間を要し,高性能な計算機でさえ計算が困難となる.その問題を解決するために,固有値フィルタリングが多項式で表現可能であると仮定し,固有値分解を介せずに近似的に固有値フィルタリングが表現可能であることを示した. また,上述の多項式近似では近似誤差が当然生じる.この近似誤差は,様々なアプリケーションにおける性能を劣化させる要因となる.平成28年度は,その問題を解決する一つの方法として,性能に大きく影響する部分の近似誤差を最小化するような手法を提案した.具体的には,重み付き二乗誤差を最小にするように,多項式近似の係数を決定することで実現した.本手法をまとめた成果がIEEEの国際会議に採録済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,多項式近似を使用した計算の効率化を行うことに成功した.さらに,多項式近似を使用した際に生じる近似誤差についても考慮し,解決するための手法も提案した.計算の効率化のみならず,近似誤差の問題にも一定の成果を導出できたことは期待以上の結果と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらなる計算の効率化を目指す.多項式近似手法を使用した固有値フィルタリングでは,グラフラプラシアン行列を乗じた信号ベクトルのみで表現可能である.つまり,多項式近似手法を用いた固有値フィルタリングには,グラフラプラシアン行列が明に必要ではない.この性質を利用し,グラフラプラシアン行列の生成に要する計算時間を省略化することで,さらなる計算の効率化を目指す.
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Research Products
(8 results)