2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J08569
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
山本 尭 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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| Keywords | 青銅器 / 生産体制 / 楚国 / 墓制 / 伝世 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は中国における資料の実見・観察等のフィールド調査を行い、データの収集を進めるとともに、そこで得られた結果に対して分析・考察を行った。その研究内容は大きく二つに分けることができる。詳細は以下の通りである。
長江流域において出土する青銅戈戟の集成を行い、その編年的枠組みの再検討を行うとともに、生産体制の画期について考察を行った。主に楚国で生産された青銅戈戟について型式学的な検討を行い、銘文等から絶対年代を与えるとともに、細かな形態的特徴の差異に着目することによって製作系譜の異同が見られることを確認した。設定した編年に基づいて製作系譜の長期的な消長を見ることにより、当該地域において前5世紀後葉、前4世紀半ばにおいて生産体制の重要な画期があったことを指摘した。この研究により、春秋戦国時代を通じて長期的な年代の物差しが与えられるとともに、青銅武器に見られるその製作系譜の多様性が明示され、ものや技術が非常に広範な地域にわたって流動的に移動していた可能性が示された。このことは、当時の社会において流動的に移動する青銅器を使用者が主体的に選択し、それらを墓へと埋葬する行為があったことを示唆し、青銅器自体の社会的な意義を考察する上で重要な成果であると言える。
河南省南部淅川県において集中的に見られる楚墓から出土した青銅器群の年代的位置づけを再考し、その中に一定の伝世品が存在することを指摘した。従来では見過ごされていた青銅器の伝世のパターンの差異を認識することにより、それらがどのように人々に扱われ墓へと埋葬されたのかを考える足掛かりとなり、本研究が目的とする青銅器の扱われ方から見た社会的変化を示す一例となったと考える。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、中国現地での資料調査を行うことができ、おおむね良好な結果を得られたとともに、それらの分析を通じて本研究の目的を達成するための基礎的な検討を進めることができたと考える。
ただし、検討を進めていくとともに当初は想定していなかった様々な問題点や、さらに分析の対象を広げる必要が生じてきたため、それらの解決のための資料調査が行えていないなど、問題点も残っている。
また調査に基づいて行った研究結果を、学会発表等によって一定の成果として残してはいるものの、未だ十分とは言えない。
これらの点は来年度以降の課題と言えよう。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度では主に戈戟を中心とした青銅武器の編年の長期的な枠組みを示すことができた。しかし青銅礼器の検討は、河南省南部出土の青銅器群に現状では限られており、その分析で採用した手法をさらに広い地域に応用することによって、春秋戦国時代全体を通じた楚国の青銅礼器の様相を明らかにしていくことが、最大かつ喫緊の課題と言える。
そのためにはまず過去に出土した楚系青銅器のデータを集成し、型式学的検討を行うためのデータベースを作成する必要がある。すでに分類の方針は示したため、それに基づいた実物観察を行っていくことも必要不可欠な作業と言えよう。
このような基礎的検討を進めることによって春秋戦国時代全体を通じた楚系青銅礼器の編年を完成させるとともに、それらの生産体制、および扱われ方の長期的変遷を示すことができると考える。
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Research Products
(3 results)
