2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J08594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥居 正人 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | Raffaelea quercivora / 病原力 / 材変色 / 菌糸伸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
Raffaelea quercivora接種後に形成される材変色幅の比較から,本菌株間で病原力に差異があると示唆された.また,本菌の接種試験から,材内における本菌の菌糸伸長とともに材変色は拡大すると示唆されている.しかし,本菌の病原力に関わる因子や実際の被害地における本菌の病原力は十分に評価されていない.そこで,本研究では被害地におけるRaffaelea quercivoraの病原力と,材内における菌糸伸長に着目し,その病原力の差異に関わる因子を明らかにすることを目的とした.国内の14都府県,13樹種由来の40菌株をコナラ成木の樹幹部に接種し,材変色幅から病原力の評価を行い,病原力の異なる菌株を選抜した.選抜された菌株を生きたミズナラ苗木の枝と,防御反応を抑制するためにγ線照射を行ったミズナラ苗木の枝に接種を行った.生きた枝への接種では材変色幅を,両接種で材内における菌糸伸長量を測定した.コナラ成木への接種において,菌株の採取地域や樹種などの由来による材変色幅の違いは認められなかった.そのため,被害地には病原力の異なる本菌が存在すると考えられた.また,材変色幅は菌株間で連続的に変移し,病原力は菌株間で連続的に異なると考えられた.そこで,その幅を最大から最小まで連続的にカバーする9菌株を選抜した.9菌株による材変色幅は,コナラとミズナラでの接種間で有意な正の相関が認められた.また,生きたミズナラ枝での材変色幅と菌糸伸長量,およびγ線照射したミズナラ枝での菌糸伸長量の3者間では,いずれにおいても有意な正の相関が認められた.これらのことから,本菌株間の病原力の違いには,材内での伸長能力の違いが大きく関与すると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分に被害材や伝搬甲虫の採取ができなかったが,予備的なものを含め,おおむね順調に接種試験を行えている.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進んでおり,病原菌の生理特性や関連微生物の検出を行っていくとともに,投稿論文の作成を進めていく.
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Research Products
(6 results)