2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J08594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥居 正人 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | Raffaelea quercivora / Leptographium属菌 / 分子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブナ科樹木の萎凋病原菌Raffaelea quercivora以外のRaffaelea属菌の病原性について検討するため,まずはアジア地域における本属菌のインベントリー調査により採取されたRaffaelea様菌類の分類学的検討を行った.近年,R. quercivoraを含むR. sulphurea complexは分子系統上,他の広義Raffaelea属菌とは異なり,広義Leptographium属菌内に位置することが示されている.そこで,R. quercivoraも含め,東・東南アジアで採取されたRaffaelea様菌類の系統的・分類的位置を明らかにすることを目的とした.そのため,日本を含む5ヵ国で採取された44菌株のrDNA(ITS2-LSU)と3つのタンパク質コード領域(β-Tub,CAL,TEF-1α)の部分塩基配列に基づき,系統解析を行った.結果,いずれの菌株もR. sulphurea complexの既知種を含む単系統となり,広義Leptographium属菌に含まれた.また,供試菌株のみで単一クレードを構成するもの,既知種も含め採取国が異なり広域に分布することが明らかになったものがあった.以上のことから,すべての供試菌株はR. sulphurea complexに属し,他の広義Raffaelea属菌とは異なりLeptographium属菌内に位置することが支持された.さらに,供試菌株の中には未記載種が含まれることが示唆され,東・東南アジアにはR. sulphurea complexに含まれる多様な系統が広く分布することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本属菌を包括するような解析が十分にできていないが,国内の被害における病原菌の病原力やその被害発生との関連に関する試験はほぼ終え,関連細菌の検出を終えている.
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Strategy for Future Research Activity |
国内の病原菌以外を用いた試験を進める.また,本研究課題の最終年度であることを踏まえ,成果報告に努める.
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Research Products
(2 results)