2015 Fiscal Year Annual Research Report
奄美大島における、外来マングースに対する在来種の急速な進化とその波及効果の解明
Project/Area Number |
15J08743
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小峰 浩隆 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 急速な進化的応答 / 適応的変化 / 捕食-被食種間関係 / 自然選択 / 対捕食者戦略 / 局所適応 / 外来マングース / アマミハナサキガエル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、奄美大島に侵入した外来捕食者マングースと、在来被食者アマミハナサキガエル、及びその下位栄養段階である地上徘徊性生物を対象に、外来種に対する在来種の急速な進化的応答とその波及効果の解明を目的としている。 研究初年度であるH27年度は、主に研究1に関する長期の野外調査、及び研究2に関する飼育個体の管理を中心に行った。研究1に関しては、アマミハナサキガエルの形態計測をマングースの侵入履歴の異なる多数の地域にて行い、形態の局所変異を検討した。その結果、地形や植生といった、形態に影響しうる他の要因を考慮した上でも、マングースによる影響が形態の局所変異に有意に影響していることが示唆された。研究2に関しては、テレメトリー調査を実施する事によってアマミハナサキガエルの繁殖地を発見し、卵を採集した。現在、東京農工大学の飼育施設にて幼生を飼育中である。変態、上陸した際、形態計測を行う。 また、研究1の一部成果を、日本生態学会第63回大会にて英語口頭発表を行ったところ、Animal Ecology分野のExcellent Awardを受賞した。加えて、本研究の一部成果を5th International Wildlife Management Congress及び、34th International Ethological Conferenceそれぞれにて発表し、海外の研究者と議論を深めた。さらに、本研究に関わる、奄美大島における外来マングースの捕獲地域特性に関する論文が、外来種関連の国際誌であるBiological Invasions誌に掲載された。来年度は、研究1に関する成果を国際誌に投稿し、研究2の飼育管理を継続する。また、研究3の地上徘徊性生物相の調査、研究4の徳之島個体群の形態、行動調査を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であった、アマミハナサキガエルの形態における適応的変化が、外来マングースの捕食圧によって誘発されている可能性を示唆することが出来た。また、採取地点数が不十分ではあるものの、発見困難な卵の採取を行うことが出来た。来年度以降の上陸個体の形態計測に備えて幼生を飼育中である。成果発表に関しては、外来マングースの捕獲地域特性についての論文が国際誌に掲載され、学会発表に際してはExcellent Awardを受賞する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
在来種の適応的変化を介した、在来種群集への波及効果を明らかにするために、アマミハナサキガエルの餌資源利用や、利用可能資源量を地域ごとに明らかにする。また、外来マングースの影響を受けていないアマミハナサキガエルの個体群として、徳之島個体群に注目し、奄美大島個体群との行動、形態、利用資源等の比較を行う。また、外来マングースによる捕食経験のない幼体の形態計測のために、複数地域において希少な卵の探索を行い、採取する。
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Remarks |
自身が所属している東京農工大学野生動物保護管理学研究室のwebページです。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Relationships between capture-site characteristics and capture levels of the invasive mongoose on Amami-Oshima Island, Japan2016
Author(s)
H. Komine , K. Takeshita, S. Abe, T. Ishikawa, M. Kimura, T. Hashimoto, K. Kitaura, T. Morosawa, K. Seki, K. Kaji
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Journal Title
Biological Invasions
Volume: Volume 18, Issue 2
Pages: 487, 495
DOI
Peer Reviewed
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