2017 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の法的支援におけるインフォーマル・ネットワークの機能に関する研究
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15J08785
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 絢 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 司法アクセス / インフォーマルネットワーク / 法的支援 / 民生委員 / 行政機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者の法的支援において、(1)地域社会によるインフォーマルネットワークが担っている役割、および、(2)フォーマル・インフォーマルネットワークの連携による支援の課題を明らかにすることを目的としている。平成29年度は、(1)平成28年度に実施した民生委員へのインタビュー調査の分析、(2)自治体Aと連携関係にある日本司法支援センター(以下法テラス)のスタッフ弁護士および行政関係機関へのインタビュー調査を実施した。 (1)民生委員へのインタビュー調査の分析 平成27年度に自治体Aの全民生委員を対象とした質問紙調査を実施し、平成28年度には質問紙への回答者の中から14名にインタビュー調査を行った。平成29年度は、このインタビュー調査データの質的な分析を行った。まず、民生委員が過去に相談を受けた高齢者の事例のうち法的課題に焦点を絞り、高齢者の問題発見から法的ニーズの顕在化、相談機関利用、民生委員による継続的な支援のプロセスを分析した。その結果にもとづき、国際学会で報告を行った。 (2)法テラス、行政関係機関へのインタビュー調査の実施 (1)の分析に加え、フォーマル・インフォーマルネットワークの連携状況や高齢者の法的ニーズの顕在化過程を把握するために、本年度は自治体Aと連携関係にある法テラスのスタッフ弁護士、自治体Aの高齢者支援課、生活保護主管課の職員へのインタビュー調査を実施した。インタビュー調査の結果、高齢者のニーズは民生委員や近隣住民によって発見され、次に民生委員や地域包括支援センターによってケースが振り分けられ、家族関係や権利関係が複雑な事案が高齢者支援課につながること、そのうち生活保護受給者の問題は生活保護主管課に相談される、というプロセスが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
民生委員調査の分析が終了し論文執筆作業に移行していること、および自治体A内での支援ネットワークによる支援プロセスの把握ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、地域包括支援センターを対象とした調査を実施し、研究の総まとめとして論文執筆を進める予定である。
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Research Products
(3 results)