2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J09039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横井 優 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 安定マッチング / 組合せ数学 / アルゴリズム / マトロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
安定マッチング問題は,2部グラフ上で安定性と呼ばれる条件を満たすマッチングを求める問題であり,研修医の病院への割当や,学校選択制度などに応用されている.本研究では,このモデルに関するいくつかの理論的成果を挙げた. ひとつは,選択関数モデルと評価関数モデルの対応付けに関する成果である.安定マッチングモデルには多くの拡張モデルがあり,そのなかには主体の選好を序数的に表す選択関数モデルと,基数的に表す評価関数モデルとがある.それぞれのモデルに対して,安定解の存在性や束構造を保証する条件が見出されていたが,両モデルの関係は十分には分かっていなかった.本研究では,評価関数モデルを選択関数モデルに自然に帰着する方法を与えた.そして評価関数の離散凹性が選択関数モデルにおいて重視される代替性やサイズ単調性などの様々な性質を導くことを示した.このことより,各主体の選好が離散凹関数で表現できるような市場モデルでは,安定解が分配束構造をもつことが分かった. また,新しい二つの拡張モデルを提案し,解析した.古典的な安定マッチング問題は,2部グラフにおいて,各点周りの上限制約と安定性を満たすマッチングを見つける問題として定式化できる.本研究で取り組んだ一つ目の拡張モデルは,次数の上限制約をポリマトロイド制約に拡張したものである.この拡張により,より表現力の高い上限制約,および実数変数を扱える.本研究ではこの問題に対して,効率的に安定解を発見するアルゴリズムを設計した.二つ目は,一般化マトロイド上の安定マッチングモデルである.これは既存のマトロイド拡張モデルに,ある種の下限を導入したものである.この問題では必ずしも安定解は存在しない.本研究では,安定解が存在するならば安定解のひとつを出力し,そうでなければ安定解の非存在を保証する効率的なアルゴリズムを設計した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,(1)選択関数のクラスと評価関数のクラスの対応付け,(2)拡張モデルでの安定解の最適化アルゴリズムの設計,という二つの問題を解決することを課題としている. 課題(1)に関しては,既に具体的に設定した課題を達成した.得られた結果から派生した新たな研究課題にも,今後取り組んでいく.課題(2)の,拡張モデルにおける安定解の最適化アルゴリズムに関してはまだ残すところが多い.これまでの研究において得られた,安定解の解集合の構造に関する知見を用いて,今後目標を達成できると感じている.
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Strategy for Future Research Activity |
計画はおおむね順調に進行しており,今後も引き続き当初の計画に従い研究を行う. 残された課題のひとつは,拡張された安定マッチングモデルにおける最適化理論の構築である.すなわち,安定マッチングの集合のなかで,与えられた指標に関して最適なものを見つけるアルゴリズムを設計したい.これまでに得られた,拡張モデルの安定解集合の構造に関する知見と,組合せ最適化の手法を活かして,この問題を解決したい. また,本研究では,理解しやすく実装可能なアルゴリズムを設計することを目標としている.従って一度理論的にアルゴリズムが設計できたら,その実装や高速化にも取り組みたい.
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Matroidal Choice Functions2015
Author(s)
Yu Yokoi
Organizer
The Third International Workshop on Matching Under Preferences
Place of Presentation
University of Glasgow, Glasgow, UK
Year and Date
2015-04-17
Int'l Joint Research