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2015 Fiscal Year Annual Research Report

「ならず者国家」の行動に対する強制と誘導:威嚇・約束の説得力と国際合意を巡る相克

Research Project

Project/Area Number 15J09146
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

田沼 彬文  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2015-04-24 – 2018-03-31
Keywords強制外交 / 威嚇の説得力 / 国際合意 / 国際秩序 / 湾岸戦争 / イラク戦争
Outline of Annual Research Achievements

本年度の研究計画は,(1)先行研究のレビュー,(2)仮説構築,(3)イラクに関する事例研究を柱としていた。
一次資料の調査を行う予定のConflict Records Research Centerが2015年6月19日に一時閉所となった後,今日まで再開していない。このため,米国の国立公文書館・議会図書館で調査を行った。湾岸戦争・イラク戦争につき,オンラインで特定した文書を請求したが,有用な未公刊の文書は少ないことが判明した。議会図書館では,安全保障論や国際秩序論につき,Hans J. Morgenthauによる未公刊文書のコレクションや二次資料を利用した。この国外での調査に加えて,もっぱら二次資料(文献)を用いて研究を行った。
(3)上記の経緯により,イラクに関する事例研究は,やや資料が手薄な状況で,主に湾岸戦争とイラク戦争について行うことになった。(2)その中で得られた暫定的な仮説は,国家の適切な行動の範囲に関して,国際社会において共有される認識が,威嚇の説得力を左右しているというものである。(1)「ならず者国家」をめぐる国際社会の対応とは,異質な主体を抱える中でのグローバル・ガバナンスの一形態と表現することもできよう。特に,そこで大国の果たしうる役割に注目するならば,例えばウィーン体制の成立過程と機能などは,歴史上の事例として示唆に富むと期待できる。
このように,国際秩序論の観点から問題を位置付けることができそうだという感触はあるが,関連する問題群の範囲を明確化してはっきりと定位できたと言える段階には達していない。イラクの事例の一般性(あるいは特殊性)についても同様である。これらの点は今後さらに検討を重ねる余地がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1)先行研究のレビューについては,「ならず者国家」に対する強制外交が,二つの点で国際秩序と関係していることを明らかにした。国際社会において許容される適切な行動と,国際社会において存続を認められるべき正統な構成員としての資格の二点である。
(2)仮説構築については,説得力ある威嚇をめぐってのトレードオフが予想される。大きな不利益を予告するほど,多国間の合意が難しく,信頼性が乏しくなるというものである。約束の説得力についても,国内あるいは国際的な合意の観点から仮説が構築できる。
(3)イラクに関する事例研究については,一次資料の公開状況の制約が強い。しかし,これは予期されていたことであり,この制約下でも,期待していた程度には政治学的な含意を引き出すことはできたと言える。

Strategy for Future Research Activity

(1)先行研究のレビューと関連して,本研究と同一の枠組みで議論するのが適当な問題群の外延が特定される段階には至っていない。これは,本格的な仮説検証にとりかかるための前提でもある。そこで,例えばウィーン体制の成立過程と機能など,国際政治学でも盛んに取り上げられてきた歴史上の事例を手掛かりに,前進を図る。
(2)仮説構築については,おおよその方向性が特定できた一方,各種変数がいまだ曖昧であり,さらに厳密にする必要がある。
(3)イラクに関する事例研究と関連して,仮説の検証に用いる事例の範囲を特定せねばならない。近年の「ならず者国家」問題に限定することに合理性があるのか,科学的に正当化可能であるのか,検討の必要がある。

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Published: 2016-12-27  

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