2017 Fiscal Year Annual Research Report
労働と全体主義の親和性に関する思想史研究――アーレントの労働思想を中心に
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15J09162
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
百木 漠 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | アーレント / マルクス / 全体主義 / 労働 / 資本主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は博士論文を元にした単著『アーレントのマルクス:労働と全体主義』を完成させることに注力した。推敲と校正を重ね、予定どおり2月末に無事出版へとこぎつけることができた。今のところ、アーレント研究者・マルクス研究者の双方から好評を得ており、2018年度中に複数の合評会開催や書評掲載も企画されている。また『唯物論研究年誌』に掲載された論文「ポピュリズム、「右」の躍進と「左」の苦境」では、2016年に世界的な注目を集めたポピュリズム問題を題材としながら、なぜ近年は左派(リベラル)が不人気となり、右派(保守)が勢いを増しているのか、という問いを考察した。『季報唯物論研究』に掲載された論文「ハンナ・アーレント――『全体主義の起源』と『人間の条件』を中心に」では、アーレントの思想を彼女の二つの主著『全体主義の起源』と『人間の条件』を中心として入門者向けに解説した。 経済社会学会での報告「労働者アイヒマン:『イェルサレムのアイヒマン』再考」では、これまで「思考」や「判断力」など後期アーレントと結びつけて考察されることの多かったアイヒマン問題(「凡庸な悪」問題)を、敢えて「労働」の観点から再考することを試みた。唯物論研究協会大会では、分科会「現代の政治状況とアーレント」において「アーレント、マルクス、ポピュリズム」と題された報告を行った。ここではアーレントの『全体主義の起源』とマルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を取り上げ、その内容を近年のポピュリズム現象と比較して考察した。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)