2015 Fiscal Year Annual Research Report
核酸と多糖からなる架橋ナノゲルによるがんワクチンDDSの開発
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15J09191
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
宮本 寛子 北九州市立大学, 大学院国際環境工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | がんワクチン / アジュバント / CpG-ODN / 多糖 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多糖キャリアを用いた核酸医薬CpG-DNAのデリバリーによるがんワクチンの開発を目指す。本研究で創製した核酸と多糖からなる架橋ナノゲルは高いアジュバント活性を促すことを今までの研究で明らかにしてきた。(N. Miyamoto et al., Chem. Lett., 2014)平成27年度は、そのアジュバントを用いてがんワクチンへの応用と活性のメカニズムに焦点を当てて研究を遂行した。がんワクチン応用では、抗原特異的なキラーT細胞の誘導を促し、がんモデルマウスでの抗腫瘍効果を得ることができた。また、この架橋ナノゲルの高い有効性の1つのメカニズムとして従来の複合体よりもはるかに高い取り込み量であることが明らかとなった。これらのことから、本年度は架橋ナノゲルのがんワクチンとしての有効性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)がんワクチンへの応用の研究実地状況 架橋ナノゲルはがんワクチンのアジュバントとして従来のCpG/SPG複合体よりも遥かに低い核酸濃度で高い抗腫瘍効果を示した。驚くことに、従来のCpG/SPG複合体でのCpGの最低投与量10μg/headを遥かに下回る200分の1の投与量の0.05μg/headでも架橋複合体は抗腫瘍効果を示した。この結果は、 OVA特異的なCTL活性とOVA特異的なIFNg活性と相関していた。また、生存期間においても架橋ナノゲルを用いたマウスは長期間の生存が観察された。この成果は架橋ナノゲルを用いることでがんの完全寛解を示唆できるポジティブな結果だった。 (2)メカニズムの研究実地状況 抗腫瘍効果を高く示した、架橋ナノゲルの作用メカニズムを解明するために、細胞取り込み評価を行った。FITCを修飾したSPG(FITC-SPG)、CpG-ODN/SPGとFITC-SPG架橋ナノゲルをマウスの脾臓細胞へ添加し、蛍光顕微鏡を用いて細胞へ取り込まれた蛍光を観察し架橋ナノゲルの細胞取り込みを評価した。 蛍光顕微鏡の結果より、FITC-SPG架橋ナノゲルは、他のサンプルと比較して高い細胞取り込みであることが明らかとなった。この取り込みは、FITC-SPGとCpG-ODN/FITC-SPGと比較して4時間から取り込みに差が生じた。24時間では、約8倍の取り込みの差が生じ、架橋ナノゲルは細胞取り込みにおいて最も高いことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫活性を示す架橋ナノゲル(PO)と架橋ナノゲル(PS)を競争させると、架橋ナノゲル(PS)は濃度依存的に架橋ナノゲル(PO)の高い免疫活性を抑えることがわかってきた。また、架橋ナノゲル(PS)は、種々のサイトカイン応答を示さなかったことから、免疫活性のないアンタゴニストとして作用する可能性が示唆された。今後、このアンタゴニストとしてのメカニズムを解明し多糖キャリアと核酸を組み合わせた、世界で類を見ない免疫活性制御の開発を行う。
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Research Products
(13 results)