2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるエチレンガス感知機構の構造生物学的研究
Project/Area Number |
15J09304
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北西 健一 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 特別研究員(PD) (90815482)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | エチレン / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑膿菌は嫌気下では嫌気呼吸の一種である脱窒を行い生育している。この脱窒過程に関わる一酸化窒素還元酵素cNOR (Nitric Oxide Reductase)、亜硝酸還元酵素NiR (Nitrite Reductase)、チトクロムc551 (Cyt c551)の三者複合体の結晶構造解析を目的とし、今年度は以下の研究成果を得た。 1. Cyt c551の発現系の構築 C末端のHisタグ融合タンパク質として、大腸菌における発現系を構築した。ヘムc合成遺伝子を導入した大腸菌BL21(DE3)に、ヘム前駆体としてアミノレブリン酸の存在下で、目的タンパク質を大量発現させた。その結果、緑膿菌由来のネイティブタンパク質と同程度の純度で精製することができた。cNORへの電子伝達能も確認した。したがって、緑膿菌由来のネイティブタンパク質と同様に、機能的なタンパク質を得ることに成功した。cNORとのクロスリンカーを用いた実験において、Cyt c551には、N末端のGlu1, Val5を選び、Cysを導入した。 2. cNOR変異体の調製 cNOR変異体は、NorBサブユニットにおけるC末端のHisタグ融合タンパク質として、緑膿菌で発現させ、精製した。分子表面にあるNorBサブユニットにおけるCys86をSerに変異したcNOR変異体を野生型とし、このcNORの予想されるCyt c551との相互作用部位近傍にCysを導入した。Cyt c551と相互作用すると推測されるcNORのNorCサブユニットにおけるGlu88, Glu89, Lys144、及び、NorBサブユニットにおけるAla419, Gly421, Thr425, Ala428を選んだ。得られたタンパク質は、野生型と同様な吸収スペクトルを示したことから、ヘム周辺構造には影響を与えていないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに本研究室で得られているcNOR-NiR二者複合体構造中で確認された塩橋の重要性を調べるために、cNOR のE119R変異体以外に、ファンデールワールス相互作用に重要と考えられるAla97の変異体(A97R, A97W)、シミュレーションから予測された塩橋の架け替えに重要なLys100の変異体(K100E, K100L)のプラスミドを導入した緑膿菌を用いた、成長速度を測定した。その結果、cNOR-NiR二者複合体における相互作用に関わるアミノ酸の重要性について明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したcNOR変異体とCyt c551変異体のCys残基同士をクロスリンカーを用いて、共有結合させ二者複合体を形成させる。さらに、得られた二者複合体とNiRの複合体形成を試み、最終的には、結晶構造解析に適した三者複合体試料の調製を目指す。クロスリンカーとしては、Cysのスルフヒドリル基間を選択的に共有結合させ、安定なチオエーテル結合を形成する試薬(1,2-bismaleimidoethane (BME), 1,4-bismaleimidobutane (BMB), 1,6-bismaleimidohexane (BMH))を用いる。 さらに、植物のエチレン受容体と関係した新規の二成分情報伝達系を微生物のゲノムデータベースより、同定することに成功した。このタンパク質の構造機能相関についても研究を進めて行く。
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Research Products
(4 results)