2015 Fiscal Year Annual Research Report
ルート系に付随する多元環の Hochschild コホモロジー論の研究
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15J09492
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
塚本 真由 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | Hochschild コホモロジー / quasi-hereditary 代数 / q-Schur 代数 / 標準加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は, 量子シューア代数の Hochschild コホモロジー環の even part と呼ばれる偶数次数のなす部分環の決定を行った. まず, Hochschild コホモロジー環が多元環の導来同値の下での不変量であることを用い, 先行研究から得られる導来同値によって, 量子シューア代数のある特別なブロックの Hochschild コホモロジーを計算した. 次に, 体上の量子シューア代数が準遺伝多元環の構造を持つことに着目することにより, 準遺伝多元環の Hochschild コホモロジー環の間の二種類の次数付き環としての全射を構成した. この結果は Hochschild コホモロジーの計算量の軽減や Hochschild コホモロジー環の環構造決定に役立てた. 最後に, 量子シューア代数の Hochschild コホモロジー環の even part の生成元を与えるために, 対称多項式のなす環から研究対象の Hochschild コホモロジー環の even part の本質的な部分への次数付き環としての全射を構成し, その射の核を考察した. 対称多項式のなす環については, その生成元たちの間の関係等, 既に多くのことが研究されているので, 先に述べた全射を構成した強みの一つは, それらの先行研究を活かすことが出来るという点である. また, 前述の準遺伝多元環の Hochschild コホモロジー環の間の二種類の全射を構成する際に得た結果を用い, 片側強準遺伝多元環と呼ばれる標準加群の射影次元が全て 1 以下となる準遺伝多元環に対して, 遺伝鎖に更に条件を課したイデアル鎖による特徴付けを与えた. この特徴付けにより, 大域次元が 2 以下の有限次元多元環と片側強準遺伝多元環の関係が明らかになった. これら二つの結果は論文にまとめ, 現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量子シューア代数の Hochschild コホモロジー環の部分環である even part を決定することは出来たが, 全体の Hochschild コホモロジー環の決定には至らなかった. しかし, 体上の量子シューア代数が準遺伝多元環となることに着目し, 準遺伝多元環に関する一般論を複数構成することが出来たので, 一定の成果はあったと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の準遺伝多元環の Hochschild コホモロジー環の間の二種類の全射を構成する際に, 準遺伝多元環は Ext 群だけでなく Tor 群との相性も良いことがわかった. そこで, 今後はこの結果を基に準遺伝多元環を有限次元多元環の表現論の観点から研究する. 準遺伝多元環の有限次元多元環の表現論的な立場からの研究は, 準遺伝多元環が導入された後直ぐに Dlab 氏・Ringel 氏を先駆けとして活発に行われている. そこで, 近年導入された片側強準遺伝多元環という特別な準遺伝多元環に対しても類似の結果が得られないか, ということに取り組む. 特に, 大域次元との関係や片側強準遺伝多元環の自己準同型環について考察する.
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Research Products
(2 results)