2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J09559
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 剣人 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 協調運動 / fMRI / 非侵襲的神経刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
上肢と下肢を協調させて動かすとき、同方向に動かすときよりも、逆方向に動かすときの方が不安定になることが分かっている。この協調運動時の特異性の神経メカニズムを明らかにすることを目的として研究を行ってきた。 昨年度、機能的脳画像イメージング法(fMRI)によって、上下肢協調運動中の脳活動を記録した。今年度は、そのデータをもとに、上下肢を協調させて動かす際の神経機構として、運動前野が同位相運動に引き込もうとする神経回路を構成しており、同位相以外の運動をするときは、その神経回路の働きを補足運動野が抑制している可能性を提唱した論文が国際誌Frontiers in Human Neuroscienceに採択された。 また、これまで得られた行動実験、心理実験、電気生理学実験、fMRI実験および先行研究の結果から、上下肢協調運動の神経機構を包括的に説明するモデルの構築を試みた。まず、上に述べたように、運動前野から上下肢が同方向に動かしやすくなる信号が投射され、同方向以外に動かすには、その機能を補足運動野が抑制する必要がある。運動前野から一次運動野へ投射される信号とともに、そのコピーが内部モデルに送られ、内在的な表象レベルでも同方向運動が促進される回路があると推測した。また、これまでの実験により、これらの回路は実際の運動を発現させなくても稼働すると考えられる。 また、上下肢協調運動の際にキーとなる脳部位や脊髄と実際のパフォーマンスの因果関係を見るに先立ち、非侵襲的な神経機能修飾法の有効性を確認する実験を行い、その有効性を示した。この成果を北米神経科学会(サンディエゴ、米国)にて発表し、まとめた論文をClinical Neurophysiologyに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの複数肢協調運動の神経機構の解明に向け、順調に研究を進めることが出来た。昨年度得たデータから上下肢協調運動の特異的な制約を生む脳・神経回路を提唱した論文を国際誌へ掲載できた。また、今年度の実験においては、これまでの研究で検討してきた脳部位・脊髄が協調運動に与える貢献度を調べるための準備として、非侵襲的な神経機能修飾方法の有効性を示した結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの研究で検討してきた脳部位・脊髄が協調運動に与える貢献度を調べるため、今年度有効性を検証した神経機能修飾法を用いる。特定の脳領域や脊髄の機能を修飾し、上下肢間の協調運動パフォーマンスや神経的なコネクションがどのように変調されるかを調べる実験を行う予定である。
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Research Products
(5 results)