2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋由来のマイオカイン「Irisin」を活かした抗肥満・糖尿病に有効な運動処方
Project/Area Number |
15J09657
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
土屋 吉史 立命館大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | マイオカイン / イリシン / 運動 / 伸張性収縮 / 環境温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、運動習慣をもたない一般者、肥満者や 2 型糖尿病患者に対する脂肪燃焼効果のある骨格筋由来の新規マイオカイン「Irisin」の分泌を効果的に増大させる運動プログラムの作成である。本年度 (平成 27 年度)の目的は、様々な一過性の運動に対する Irisin の分泌応答を、運動実施時の環境温度をも含めた検討により、Irisin 分泌を効果的に増大させる運動を明らかにすることであった。 【課題 1-1】筋の収縮様式の相違の影響 有酸素性運動時の筋の収縮様式 (①水平面での走運動と②伸張性筋収縮が強調される下り勾配での走運動) の違いがイリシンの分泌応答に及ぼす影響を検討した。その結果、運動後における血中 Irisin の濃度曲線下面積 (運動直後~運動 3 時間後) は、下り勾配での走運動群が水平面での走運動群に比べ有意に高値を示した。上述の結果は、伸張性筋収縮を強調した下り勾配での走運動が水平面での走運動に比べイリシンの分泌応答を増大させることを示唆するものである。 【課題 1-2】温度環境の相違の影響 有酸素性運動時の環境温度の違い (①高温、②通常温、③低温) が Irisin の分泌応答に及ぼす影響を検討した。現在は、得られたデータの解析を進めている段階である。測定項目としては、エネルギー消費に関するマイオカインである Irisin、Interleukin-6 (IL-6) を、糖および脂質代謝関連因子であるグリセロール、コルチゾール、クレアチンキナーゼ、インスリンの血中濃度を測定する予定である。併せて、呼気ガスの採気 (酸素摂取量および二酸化炭素産生量、呼吸交換比、換気量等) および体温測定 (鼓膜温、直腸温) の解析も行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 27 年度は、 予定していた 2 つの実験を完遂することができ、研究課題 1 に関しては仮説に近い結果を得ることができた。また平成 28 年度には研究課題 1 の結果を学会発表にて成果報告することも決定している。以上のことから、研究の進捗状況を、概ね順調であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成 27 年度は、抗肥満・抗糖尿病に効果的な運動を、マイオカインである Irisin に着目して検討した。次年度は骨格筋における分子生物学的な手法を取り入れることにより、Irisin を中心としたマイオカインの分泌メカニズム解明を目指す。
|
Research Products
(1 results)