2015 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ理論的基盤の刷新による離散アルゴリズム設計の統一的理論の新展開
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15J09683
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
喜多 奈々緒 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 離散最適化 / グラフ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
離散最適化の分野において解くべき問題は無数に存在するため,効率のよいアルゴリズムを設計するための統一的な理論の構築はこの分野の必須課題である.本研究ではこのような統一的な理論を構築すべく,その基盤となるグラフ理論的課題に焦点を当てた.古典的にマッチング理論は多面体的組合せ論との関係から,このような取り組みに対するヒントを多く有していると考えられているため,本研究ではとくにマッチング理論に着目して研究を行った. まずは多面体的組合せ論の分野における古典的な定理である tight cut lemma (Edmonds, Lovasz & Pulleyblank'82) に対して,改良された証明を与えた.この改良された証明は純粋にグラフ理論的な手法によるものであり,したがって今後グラフ理論的手法と最適化理論との関連をいっそう明らかにする手助けとなることが期待される.この成果はすでに論文にまとめられ,査読付き媒体に投稿されるとともにオープンアクセスレポジトリにて公開されている. さらに,組合せ論における重要な概念である b-matching に注目し,その標準構造を明らかにする理論の構築に取り組んだ.b-matching とは 1-matching の概念の自然な一般化である.1-matching の標準構造を記述する理論として古典的に Dulmage-Mendelsohn分解が知られている.本研究では Dulmage-Mendelsohn 分解の b-matching に対する一般化を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の通り,離散的対象の上のアルゴリズム設計の理論の土台となるグラフ理論の研究に取り組んだ.調書の通りまずは polyhedral combinatorics における古典的な定理である tight cut lemma に対してグラフ理論の観点から改良された証明を与えた.この成果は論文にまとめられすでに査読付き媒体に投稿されるとともにオープンアクセスレポジトリにて公開されている.また,この成果は国内外の学会において口頭発表されている. さらに,組合せ論における重要な概念である b-matching に注目し,その標準構造を明らかにする理論の構築に取り組んだ.これについては1-matchig の理論における古典的な理論である Dulmage-Mendelsohn分解の一般化を達成し,さらに二通りの導出を与えた(論文執筆中).いずれの成果も研究計画調書において達成すべき重要なテーマとして述べたものであり,かつ期待通りの強力な成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き研究計画に則り研究を推進していく予定である.
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[Presentation] A New Proof of the Tight Cut Lemma2015
Author(s)
Nanao Kita
Organizer
39th Australasian Conference on Combinatorial Mathematics and Combinatorial Computing
Place of Presentation
The University of Queensland, Brisbane, Australia
Year and Date
2015-12-07 – 2015-12-11
Int'l Joint Research