2017 Fiscal Year Annual Research Report
日本語母語幼児の受身文に対する言語知識と認知処理機構の発達
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15J09804
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
石川 めぐみ 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2019-03-31
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| Keywords | language acquisition / Japanese passive / Japanese children / direct passive / possessive passive / sentence comprehention / sentence processing |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究計画は主に次の2点： 1) Null subject passive（例「さるに叩かれている」）とShort passive（例「かえるが叩かれている」）の2条件の受身文に対する日本語児の理解実験について成果発表をすること、2)Null subject passiveと、同じように二格名詞句を含むFull passive（例「かえるがさるに叩かれている」）の2つの受身文に対する日本語児理解実験実施。どちらも計画通り実施した。さらに、3) 年齢を上げて追実験、4) ヲ格名詞句を伴うPossessive passive（例「さるがかえるに腕を引っ張られている」）とFull passiveの比較理解実験も実施することができた。
先行研究から、Full passiveの子どもの文法獲得には困難が見られることが分かっている。Fox and Grodzinsky (1998) によれば、Full passive獲得の困難さは「by phraseへの意味役割付与が困難の原因である」と主張され、日本語児を対象としたOkabe and Sano（2002）でも支持されてきた。しかし、先行研究で実験された他動詞受身文はShort passiveとFull passiveであり、2つの文中名詞句数は異なるため、Full passiveの文理解の困難さの要因は名詞句の数にある可能性を否定することができない。そこで、本実験では先行研究の2条件に加えNull subject passiveを実験材料に理解実験を実施し、「二句そのものが困難さの要因である」という仮説が正しいかどうかを検証した。結果は、Null subject passiveはShort passiveと同じ程度の正答率で、full passiveより成績が良かった。つまり、これまで主張されてきた主張は再考の余地があることを示唆した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、上述のとおり当初の計画を達成でき、成果も国内外で発表していることから、順調に進展しているとみなして良いだろう。さらに、実験実施にご協力くださっている保育施設の協力があり、さらに追加実験を実施することができた。当初は次年度に予定していた実験を実施することができ、本年度計画以上に進展していると考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成３０年度は、主に次の4点を計画している。
(1)前年度に実施したFull passive（例「さるがかえるに引っ張られた」）と、２種類の名詞句削除受身（例 Short passive「さるが引っ張られた」 Null subject passive「かえるに引っ張られた」）の理解実験結果の成果発表
(2)前年度に実施した３種類のPossessive passive（例 Possessive full passive「さるがかえるに腕を引っ張られた」 Possessive short passive「さるが腕を引っ張られた」 Possessive null subject passive「かえるに腕を引っ張られた」）の分析と、Full passiveの理解実験の追実験（年齢層を広げ、被験者を増やす）
(3)実験結果について成果発表
(4)Possessive passiveと文中名詞句の数が同じ、Adversative transitive passive（例「さるがかえるに窓を開けられた」）の理解実験実施
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