2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J10066
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大森 源城 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 写像類群 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲面の写像類群とは,その曲面の自己微分同相写像のアイソトピー類からなる群である.本年度は,研究目的や研究計画に記載した向き付け不可能曲面の写像類群やその部分群の生成系や表示に関する研究を行った.具体的には,以下の2つについて行った. (1) 向き付け不可能閉曲面の2次巡回群を係数とする1次ホモロジー群に自明に作用する向き付け不可能閉曲面の写像類群の部分群をレベル2写像類群と呼び,Dehn twistの積で書ける元からなるレベル2写像類群の部分群をレベル2ツイスト部分群と呼ぶ.レベル2写像類群に関してはその有限生成系やアーベル化は知られていたが,レベル2ツイスト部分群に関しては知られていなかった.そこで,Reidemeister-Schreier methodを用いてレベル2ツイスト部分群の有限生成系を求め,その生成系と5項完全系列を用いることで曲面の種数が十分高い時のアーベル化を決定した.その結果を東工大トポロジーセミナー,研究集会「リーマン面に関連する位相幾何学」,日本数学会2015年度秋季総合分科会にて発表した.この研究は石川工業高等専門学校の小林竜馬氏との共同研究である. (2) Paris-Szepietowskiによって向き付け不可能曲面の写像類群の有限表示は求められており,Stukowはその表示を用いてDehn twistとY-homeomorphismを生成系とする有限表示を求めた.しかし,それらの表示は単純なものとは言い難い.そこで,先行研究で知られていた向き付け可能曲面の写像類群の無限表示のGervaisによる構成を参考に,向き付け不可能曲面の写像類群の単純な無限表示を構成した.その結果について研究集会「Hurwitz action 5」,第12回 数学総合若手研究集会 ~数学の交叉点~,日本数学会2016年度年会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究にて当初予定していた向き付け不可能曲面のレベル2ツイスト部分群の有限生成系を求める事ができ,そのアーベル化も求める事が出来た.更に,向き付け不可能曲面の写像類群の単純な無限表示も求めることが出来た.この無限表示は,その単純さ故他分野への応用が期待される.これらの結果については「研究実績の概要」で記した学会や研究集会にて発表しておりプレプリントでも発表している.更に,修士論文の結果を記した論文「A finite presentation for the automorphism group of the first homology of a non-orientable surface over Z_2 preserving the mod 2 intersection form」が雑誌「Topology Proceedings」に受理された.以上の理由で,本研究はおおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行っていた,向き付け不可能曲面の写像類群の単純な無限表示はその曲面の境界成分数が0か1の時のみに構成されている.一般の境界成分数の場合に構成されていない理由は,境界成分数が0か1の時以外の向き付け不可能曲面の写像類群の有限表示がまだ求められていないからである.従って来年度は,まず向き付け不可能曲面の写像類群の有限表示を一般の境界成分数の場合に構成し,その有限表示とGervaisの議論を用いて単純な無限表示を構成する事を目標とする. また,ハンドル体のトレリ群の生成系に関する研究も行う.その第一段階として,向き付け可能曲面のトレリ群とハンドル体の写像類群の共通部分となる群の単純な無限生成系を求める事を目標とする.この結果の応用として,向き付け可能曲面のレベルd写像類群とハンドル体の写像類群の共通部分となる群の無限生成系の構成が期待される.この生成系としてより単純なものを構成する事を目標とする.
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Research Products
(8 results)