2015 Fiscal Year Annual Research Report
糖修飾磁性-プラズモンハイブリッドナノ粒子の創製と細胞内小胞単離技術の開発
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15J10127
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 麻里 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ハイブリッドナノ粒子 / ナノ粒子生成機構 / 耐酸化特性 / 磁気交換バイアス / オートファゴソーム / バイオイメージンング / 磁気分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、磁性-プラズモンハイブリッドAg@FeCo@Agダブルシェル型ナノ粒子の生成機構の解明に取り組んだ。ナノ粒子生成機構における重要な発見は以下の2点である。第一に、FeとCoイオンがAgナノ粒子の触媒作用により還元されFeCoシェルが形成されること、第二に、最外殻のAgシェルはFeCoシェル形成中に取り込まれたAg原子の表面偏析により形成されること、が明らかとなったことである。さらに、このナノ粒子のFeCoシェルは部分的に酸化されコバルトウスタイト相を形成していることが分かった。コバルトウスタイトは反強磁性体であるため、FeCoが酸化されるとナノ粒子の飽和磁化が急激に減少してしまうという問題があった。そのため、耐酸化性を向上すべくAg@FeCo@Agのコアへ電気陰性度の高いAuを少量合金化し、Agのプラズモン散乱特性を維持したまま電子移動効果を向上することにより、FeCoの酸化をより抑制することを試みた。このような試みから合成されたAgAu@FeCo@AgAuナノ粒子はAg@FeCo@Agナノ粒子と比較してFeCoシェルの酸化が抑制されていることを確認した。このような粒子の改良と並行して、ナノ粒子をオートファゴソームへ取り込ませる条件検討も実施した。その結果、リポフェクション法により粒子をHEK293T細胞及びCOS-1細胞内へ導入したところ、どちらの細胞でも粒子がオートファゴソーム内に局在していることを共焦点顕微鏡で確認することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は4つの大きな進展があった。1つ目はAg@FeCo@Agダブルシェル型ナノ粒子の生成機構の解明をしたこと、2つ目は哺乳動物細胞へラクトース修飾Ag@FeCo@Agナノ粒子を取り込ませオートファゴソーム内へ捕捉されたナノ粒子のプラズモンイメージングに成功したこと、3つ目はFeCo中間層の酸化によって形成されたFeCo-Co<sub>x</sub>Fe<sub>1-x</sub>O界面での交換バイアスを発見したこと、4つ目はさらに耐酸化性が向上したAgAu@FeCo@AgAuダブルシェル型ナノ粒子を創製したことである。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファゴソームを磁気分離し、膜タンパクの同定を試みる。具体的には、粒子表面電荷の制御や、粒子と細胞の共培養時間の最適化で、オートファゴソーム内にAgAu@FeCo@AgAuナノ粒子が高効率で取り込まれる条件を探索する。最適条件を見出した後、自動磁気細胞分離装置(MACS)を用いてオートファゴソームの磁気分離を行う。オートファジーが誘導された細胞の細胞膜を温和に破砕し、内容物をMACSに供し、磁性プローブを含むオートファゴソームのみを抽出する。オートファゴソームを単離した後はプロテオーム解析に供し膜タンパク質の同定を行う。また、オートファゴソーム内に取り込まれたナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察する。
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Research Products
(8 results)