2016 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の生産するプレニルインドールアルカロイドの生合成研究
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15J10131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 正弥 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | テルペノイド / 生合成 / 放線菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2分子のジメチルアリル二リン酸(DMAPP)からシクロラバンデュリル二リン酸(CLPP)を生成するテルペン合成酵素CLDSの反応メカニズムの解明に取り組んだ。CLPPの生合成機構を明らかにするため、メチル基の水素原子を重水素で置換したラベル化DMAPPを用いて、そのプロダクトの標識パターンを解析した。GC-MSおよびNMR解析の結果、非標識のCLPPの分子量154に対して、ラベル化DMAPPを基質としたプロダクトの分子量は12増加した166であったことから、2分子のラベル化DMAPPに含まれる計12個の重水素が全てCLPPに残ることが判明した。 また昨年度にCLDSの結晶構造の決定に成功していることから、その立体構造情報をもとに活性部位近傍のアミノ酸残基を置換し、その変異体の解析を実施した。その結果、基質結合ポケット付近に位置するアミノ酸残基を置換した変異体において、CLPPの他に新たなプロダクトの生成を確認することができた。そこでGC-MSによる保持時間とマススペクトルの比較を行ったところ、このプロダクトは非環状のラバンデュリル二リン酸(LPP)である可能性が高いことが明らかになった。 以上のトレーサー実験と変異体解析の結果を考慮すると、CLDSの触媒機構により2分子のDMAPPが縮合して中間体LPPが生成したのち、閉環反応が進行してCLPPが生成するものと予想できる。CLDSは、イソプレン側鎖の縮合と環化反応を同一酵素が触媒する初めてのテルペン合成酵素であり、本研究により自然界におけるテルペン合成反応の多様性の一端を示すことができると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載したように、CLDSの基質認識や環化反応に重要と考えられるアミノ酸残基を見出し、本酵素の推定反応機構を支持する結果を取得することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在予想しているCLDSの反応機構の妥当性を、計算化学により検証する。さらに、ゲノムマイニングにより複数の放線菌からCLDS遺伝子ホモログが見出されていることから、本遺伝子の周辺領域を詳細に解析し、シクロラバンデュリル構造を有する未知のテルペン化合物の同定に取り組む。
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Research Products
(6 results)