2016 Fiscal Year Annual Research Report
ガンダーラ仏教寺院遺跡の保存に関する基礎的研究－祠堂建築遺構の復原形態を中心に－
| Project/Area Number |
15J10172
|
|---|
| Research Institution | Kokushikan University |
|---|
Principal Investigator |
加藤 直子 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 特別研究員(PD)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
| Keywords | ガンダーラ / 保存 / 復原 / 仏教建築 / 祠堂 / 仏教寺院 / ガンダーラ |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度収集をおこなったガンダーラ仏教寺院の発掘調査をはじめとした関連資料などをもとに、データベース作成を継続して行い、それらと並行して主に中央ガンダーラおよびタキシラにおける祠堂建築についての分析・考察を進めた。
本年度も昨年度と同様、パキスタンにおける現地調査は、現地の治安問題のため自粛し、インドのデリーにおいてインド考古調査局Archaeological Survey of India（以下、ASIという）等で、また英領時代に設置されたアグラのASI地域事務所でも保存や資料の状況などについて当時の調査および保存事業に関する調査資料、またインド中部の古代仏教寺院や古代インドの仏教寺院の建築形態がみられる石窟寺院を中心に類例調査として海外調査を実施した。なお、国内においても日本隊が実施したガンダーラにおける発掘調査の関連資料の収集をすすめるため、調査を継続した。
なお平成28年7月に実施された第23回ヘレニズム～イスラーム考古学研究会において、中央ガンダーラの仏教寺院の祠堂建築の研究成果について、口頭発表を行い、『ヘレニズム～イスラーム考古学研究23号』に掲載された。また前年度に日本建築学会へ投稿した「タフティ＝バヒ遺跡における英領時代の保存と修理 ―ガンダーラ遺跡群における保存のあり方に関する研究―」について、平成28年8月に開催された日本建築学会大会において口頭発表を行った。これらの発表にともない、同様の分野や地域で研究を行う研究者等を意見交換なども行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたように、データベースの作成の継続および分析・考察を進めた。主に昨年度と同様、現地調査を実施することはできなかったために、インドのデリーのインド考古調査局Archaeological Survey of Indiaや国立博物館などでの英領時代の写真資料などについて資料調査を実施し、いくつか出版物に掲載されていない写真資料などを収集できたほか、英領時代に設立されたアグラ地域事務所Agra Circle Officeでも英領時代の調査や保存事業等についての調査を行った。またスワートで発掘を行っていたイタリア隊などの資料をはじめとした近年の資料の収集や、国内での資料収集も継続し、データベースに反映させた。現地調査が実施できなかったため、データベース作成に若干の遅れが生じているものの、分析・考察など研究は、おおむね順調に進捗している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
本年度は、①補足的な調査・分析・考察、②地域間の比較考察、③論文などの執筆および研究成果のまとめを行い、④研究成果の発表を行う。
前年度から継続して作成していたデータベースの作成にともない、必要な補足調査を実施し、データ等の収集を完了する（①）。さらに分析を進め、前年度までに行った遺跡ごとの形態の特徴と遺跡間の比較考察の結果をふまえ、地域間（中央ガンダーラ・タキシラ・スワート）での比較考察を行う（②）。そして論文などとして、研究の成果をまとめる（③）。また実際にガンダーラ遺跡等の保存・修理で研究結果を反映できるように、研究成果の発表を可能な限り進めていくこととする（④）。
|
Research Products
(2 results)
