2015 Fiscal Year Annual Research Report
肝胆膵悪性腫瘍の進行分子機構解析に基づいた新規治療法の開発と外科的臨床応用
Project/Area Number |
15J10224
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
貝沼 雅彦 帝京大学, 医学部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 浸潤転移 / FXR |
Outline of Annual Research Achievements |
「肝胆膵悪性腫瘍の進行分子機構解析に基づいた新規治療法の開発と外科的臨床応用」 本研究の目的は最新の科学技術を用いて実現可能性の高い画期的治療法を開発し患者予後を向上させることである。具体的には、肝癌は門脈を介して肝内転移する特性をもつため、肝癌細胞株in vitroで小分子化合物を用いて肝癌の浸潤転移分子機構を解析する。得られた分子基盤をもとに、小分子化合物で浸潤転移を抑制できることを立証する。具体的な標的は胆汁酸応答性受容体FXRである。肝癌の細胞株を用いて胆汁酸受容体FXRの発現および機能を解析した。肝癌細胞株in vitro でのFXRの機能解析:肝癌細胞株を用いて、mRNAレベル、タンパク質レベルでのFXRの発現を確認した。 定量実験で条件検討に苦戦し時間を要した。肝癌細胞株をFXRリガンドで処理すると、細胞増殖が抑制された。FXRシグナルが細胞増殖に寄与している可能性が示唆された。次に浸潤転移に関与する分子の発現解析を施行した。肝癌細胞株において浸潤転移に深く関与するFAKに注目した。FAKは肝癌の悪性化の予後因子となるとの報告がある。胆汁酸がFAK(focal adhesion kinase)のリン酸化を促進することを明らかにした。また、浸潤転移の分子機構として、EMT上皮間葉転換を介しているかどうか検証した。肝癌細胞株を用いて蛍光免疫染色でEMT分子であるNカドヘリン、Snailなどが発現していることを確認した。FXRリガンド処理でEMTマーカーの変化定量化を検討中である。また、浸潤転移アッセー系を確立した。肝癌細胞株でも浸潤転移能が異なることが示唆された。今後はFXRリガンド処理で浸潤転移能の変化を解析する。次年度は、今年度の知見をもとに、in vitroからin vivo ヒト肝癌での病理学的解析及び外科臨床応用を目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究テーマは平成27年度から研究を立案し開始した。概ね順調であったが、定量実験に予想以上に時間を要した。また実験系をゼロから立ち上げたため、試実験や条件検討に時間を要した。得られた知見をもとにさらに研究を継続し遂行したいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
時間を要したが、平成27年度で実験系を立ち上げ、再現性がとれるようになってきた。 また、必要な機器や器具試薬が充実し安定してきた。 研究が軌道に乗ってきたと言える。よって、今後の研究推進方策としては、 まず in vivoでの得られた知見をまとめ、研究結果を、今後、学会で発表しまた、論文作成を目標とする。
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