2015 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀アメリカ小説における奴隷制廃止論とインディアン問題――トウェインを中心に
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15J10240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉村 篤志 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | Mark Twain / Sam Clemens / Edgar Allan Poe / Catharine Maria Sedgwick / 奴隷制度 / 先住民 / 人種表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mark Twainについては、再編纂されたAutobiographyを精査し、合衆国の人種政策に対するTwainの反応を通時的に考察した。また併せて、映画、TVドキュメンタリーなどの映像作品・写真資料を詳細に吟味した。論文“ ‘Heavenly War-Paint’: Mark Twain’s Courtship and His Suppressed Identity as a Southerner”においては、“Only a Nigger” (1869), “A True Story, Repeated Word for Word as I Heard It” (1876)におけるアフリカ系アメリカ人表象、“Plymouth Rock and the Pilgrims” (1881)や“Indiantown” (c. 1899)における先住民表象の諸相を複層的に分析した。同稿は国内の代表的研究ジャーナルStudies in English Literature 2016年号に掲載された。Twain研究史において周縁的位置に留まり、批評的関心を集めることが稀であった未発表草稿“Indiantown”の重要性を確認することができたことは、昨年度の本研究の主要成果といえる。
その他、Edgar Allan Poeについては、John Carlos RoweやJoan Dayanの議論を参照しながら、The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucket (1836)における黒人反乱の主題と混血先住民表象の関わりを考察した。Catharine Maria Sedgwickに関しては、1820年代における「国民文学」の成立過程を追いながら、白人少女と先住民少年の異人種婚問題を主題化したHope Leslie (1827)を吟味した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内で最も権威のあるジャーナルStudies in English Literatureに英語論文が採択・掲載されるなど、Twain研究に関しては予想以上の成果をあげることができた。Poe, Sedgwickについても、予定通り順調に研究を進めることができた。
Hawthorneに関しても査読論文(英文)を発表できたことは、当初の想定以上の成果だったといえる。他方、映像作品の検討や写真資料収集については不十分におわった点も多い。その点は今後の課題となるが、全般としては順調に研究が進展したといえる。とりわけ、論文“ ‘Heavenly War-Paint’: Mark Twain’s Courtship and His Suppressed Identity as a Southerner”が同分野の研究者より高い評価を得たことは附記しておきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
従前までの研究計画を発展的に継続していくことを目指す。とりわけ、Twainの“The Facts Concerning the Recent Carnival of Crime in Connecticut” (1876)について詳細に分析したい。
テクストに頻出する奴隷制度の比喩に着目し、「浮浪者の庇護」をめぐる語り手の倫理的葛藤の諸相を、南北戦争後の南部諸州において事実上の奴隷制維持に資することとなった黒人法(Black Codes)――およびそれらの条文内容に多大な影響を及ぼしたニューイングランド諸州の浮浪法(Vagrancy Laws)――に照らして検討する。また作品と平原インディアン戦争史、とりわけ南北戦争中に勃発した合衆国・ダコタ戦争(1862)との連関について考察したい。議論の過程においては、New York Timesなどの同時代の新聞・雑誌記事やGuy Gibbon, C. M. Oehlerらの歴史研究の成果を援用する。
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Research Products
(2 results)