2016 Fiscal Year Annual Research Report
維管束植物の篩管の中空化におけるオルガネラ・リロケーションの制御機構
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15J10272
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| Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
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Principal Investigator |
宮島 かおり 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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| Project Period (FY) |
2015-04-10 – 2019-03-31
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| Keywords | シロイヌナズナ / 維管束篩部 / 篩要素 / 細胞分化 / オルガネラ・リロケーション |
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| Outline of Annual Research Achievements |
維管束植物において、光合成産物などを細胞内で輸送する篩要素細胞は、細胞分化過程において、核消失や細胞質基質の希釈を伴い中空化する。これまでに、この篩要素の最終分化プロセスにおいて、細胞内に散在していたミトコンドリアなどのオルガネラが細胞内で再配置される、オルガネラ・リロケーションが起こることを見出していた。また、このオルガネラ・リロケーション時に一過的に特殊な微小管構造が形成されることを見出していた。
本年度は、３次元走査型電子顕微鏡を用い、篩要素の最終分化プロセスにおけるオルガネラ変化を解析した。その結果、まず篩要素の最終分化プロセスにおいて形成される微小管構造が、細胞内膜系に囲まれている可能性を見出した。また、篩要素特異的に微小管を阻害すると、この構造体形成や、オルガネラ・リロケーションが見られなくなる様子を明らかにした。また、このように篩要素の細胞分化に異常がある場合、篩部の輸送機能に異常があることを、蛍光マーカーを用いて明らかにした。
また、NAC45とNAC86転写因子がどのように篩要素の選択的オルガネラ消化や微小管形成を制御しているかを明らかにするために、順遺伝学的スクリーニングを行った。これにより、篩要素の細胞分化に特異的に異常がある突然変異体が単離された。しかし、この突然変異体の原因遺伝子の転写レポーターは、NAC45とNAC86の二重変異体でも発現していることが確認され、NAC45とNAC86に非依存的であることがわかった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
篩要素分化における新規微小管構造のオルガネラ・リロケーションに関する機能を調べる目的で、篩要素特異的に微小管機能を阻害したときの篩要素分化の異常を解析することを計画していた。これについては、申請時に計画していた蛍光分子マーカーを用いたライブイメージングだけではなく、より解像度の高い３次元走査型電子顕微鏡解析を行った。
また、NAC45とNAC86転写因子がどのように篩要素の選択的オルガネラ消化や微小管形成を制御しているかを明らかにするために、下流因子を探索する計画を立てていた。本年度は順遺伝学的スクリーニングにより、篩要素分化に異常がある突然変異体を単離した。残念ながら、この突然変異体の原因遺伝子はNAC45とNAC86転写因子により制御されていなかったが、篩要素特異的な微小管形成に関与する因子を探索する目的で、この突然変異体や、その他篩要素特異的な微小管関連遺伝子や細胞内膜系関連遺伝子を見出し解析している。
本研究の申請時に、「篩要素の細胞内消化に伴うオルガネラ・リロケーションが、その後のオルガネラの運命に寄与するのではないか」という仮説を立てていたが、これを明らかにするために光変換蛍光タンパク質を用いて、オルガネラクラスターのミトコンドリアが分解されるかどうかを可視化するマーカーラインを作成している。
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| Strategy for Future Research Activity |
篩要素分化におけるオルガネラ・リロケーションや新規微小管形成の分子実態や生物学的意義を明らかにするために、蛍光分子マーカーによるイメージングや、３次元走査型電子顕微鏡画像の詳細な解析を引き続き行う。
また、篩要素の最終分化において一過的に形成される微小管構造の構築過程を明らかにする計画を立てていたが、この構造体が微小管と細胞内膜系からなる構造体である可能性が見出されたため、篩要素特異的な微小管関連遺伝子や細胞内膜系関連遺伝子を解析する。さらに、これまでに単離した突然変異体についても、この構造体の形成機構への関与について引き続き解析する。
「篩要素の細胞内消化に伴うオルガネラ・リロケーションが、その後のオルガネラの運命に寄与するのではないか」という仮説について、オルガネラクラスターのミトコンドリアが分解されるかどうかを観察する。
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