2015 Fiscal Year Annual Research Report
高視野高速掩蔽モニター観測による太陽系外縁部の解明
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15J10278
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
有松 亘 国立天文台, 天文情報センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 惑星起源・進化 / 太陽系天文学 / 太陽系外縁部 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、キロメートルサイズの太陽系外縁天体(TNO)による恒星掩蔽を検出することを目的とした、具体的な観測手法の構築を実施した。交付申請時に提案していた、国立天文台すばる望遠鏡と東京大学木曽観測所シュミットカメラ等の大型望遠鏡を用いた掩蔽観測、および掩蔽モニタ観測専用の小型広視野高速観測システムを利用したモニタ観測、の両手法について、平成26年度中に得られていた試験観測データ等を基に、掩蔽現象の検出可能性を詳細に検討した。その結果、モニタ観測専用の小型の広視野高速観測システムを開発し、それを用いて掩蔽モニタ観測を実施することで、TNOによる恒星掩蔽をもっとも効率的に検出できることを明らかにした。 考案した観測システムが実際にTNOによる恒星掩蔽を検出できるのか詳細に検証するため、小型高速広視野観測システムの試作機を開発し、平成27年7月と平成28年2-3月には沖縄県宮古島市にて試験観測を実施した。試験観測によって、作成した小型高速広視野観測システムが、Vバンドでのみかけの明るさがおよそ14等よりも明るい恒星およそ3000個を、15fpsのフレームレートで高速同時測光できることを確認した。また、テスト観測で得られた恒星の光度曲線を基に、光度曲線から掩蔽現象候補を検出するプログラムの作成も実施した。平成27年7月の試験観測の結果については平成27年9月に開催された、日本天文学会秋期年会に口頭およびポスター発表で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に記載があるとおり、平成27年度にはTNOによる恒星掩蔽を検出するための、具体的な観測手法を構築し、さらに掩蔽モニタ観測を行う小型広視野高速観測システムの試作機を製作し、試験観測を実施した。さらに掩蔽モニタ観測データの解析パイプラインの作成までを達成し、一部成果についての学会での報告までを実施した。以上の進捗は当初の研究計画に記載されていた平成27年度の計画内容とほぼ合致するものであり、本計画はおおむね順調に進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の研究計画通りに研究を実施する予定である。まず平成28年度には開発した広視野高速観測システム二台を用いた掩蔽モニタ観測を実施する。平成28年度はキロメートルサイズのTNOによる掩蔽現象の初検出を目指し、TNOの天球密度が高いと推定される黄道付近を集中的にモニタ観測する。さらに平成29年度にもモニタ観測を継続して実施する予定である。観測の進捗状況に応じて国内および国際学会にも参加する。また、モニタ観測中に掩蔽現象候補の検出ができ次第、検出を報告する論文を投稿する予定である。
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Research Products
(3 results)