2016 Fiscal Year Annual Research Report
明治期の画工に関する研究-学術・教育における図の役割
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15J10351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藏田 愛子 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 画工 / 学問の視覚化 / 織田東禹 / 坪井正五郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東京大学草創期の理学部に雇用された「画工」と呼ばれた洋画家や日本画家を調査対象に、明治期の学術・教育分野における画工の活動実態を明らかにすることを目的とする。画工と研究者の手によってつくり出された様々な視覚的資料(論文図版、図譜、掛け図など)が、近代日本の学問形成にいかなる関わりをもち、学問の視覚的な伝達にどう貢献したのかを考察するものである。 平成28年度は、画工によって描かれた図が各専門分野の中でどのようにつくり出され、つかわれたのかを、平成27年度の資料調査に基づき、考察を進めた。坪井家資料(東京大学大学院情報学環・学際情報学府蔵)や東京帝室博物館に関するマイクロフィルム文書(東京国立博物館蔵)等の閲覧調査に基づき、明治後半における日本石器時代の視覚的なイメージ形成を論じた。1907(明治40)年に開催された東京勧業博覧会には、「太古遺物陳列場」という一時的な展示施設が設置され、同博覧会の別会場には日本石器時代の想像図《コロポッグルの村》が展示されている。陳列場や想像図の制作にあたり、大野雲外(東大人類学教室画工)や織田東禹(挿絵画家)ら制作者たちの積極的な関与があったことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度より継続して、画工に関する基本的な情報や関連文献の調査を進めている。今後は資料分析に基づく丁寧な考察がさらに必要であるため、 (1)と(3)の間と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの各画工の画業に関する調査を継続しつつ、明治期の画工が果たした役割の考察を中心に行いたい。とりわけ、画工と研究者との交流、画工の描画法(技術的側面)、大学や博物館等の組織における画工の位置づけといった視点から、画工の活動を多角的に考察する予定である。
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Research Products
(3 results)