2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノドメイン内に拘束された高分子鎖の末端固定/解放による結晶性の制御
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15J10502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 慎太郎 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子 / 結晶化 / ナノドメイン / ブロック共重合体 / 光分解性 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なるポリマー鎖を結合させたブロック共重合体は、規則正しいナノドメイン構造を自発的に形成することから注目を集めている。このとき、ナノドメイン内のブロック鎖の片末端または両末端はナノドメインの界面に固定されている。この「末端固定」がブロック鎖の結晶化に及ぼす影響についての系統的な研究は少なく、特に両末端または片末端が固定されたブロック鎖の結晶化については全く分かっていない。このことはブロック共重合体を用いた材料の結晶性制御のための指針が存在しないことを意味する。そこで本研究では、光分解性の非晶性-結晶性-非晶性トリブロック共重合体を新規に合成し、ナノドメイン内のポリマー鎖の片末端・両末端を固定・解放することによる結晶化挙動への影響を明らかにし、末端固定による結晶化制御への道筋を示すことを目的とした。 本年度は、モデル光分解性トリブロック共重合体の合成手法の確立および合成した試料を用いて両末端固定鎖・片末端固定鎖・非固定鎖の結晶化挙動を比較した。光分解性の官能基を末端に導入した非晶性・結晶性ホモポリマーの合成、およびその後のクリックケミストリーを用いたカップリングにより、分子量分布の狭いブロック共重合体試料を高収率で得ることに成功した。合成された試料のナノドメイン構造の規則性が予想より低く、組成を変更して再合成したために若干の計画の遅れはあったものの、今後の研究を展開する上で重要な合成手法を確立することができた。合成した試料を用いて、両末端あるいは片末端が固定されたブロック鎖と、末端が固定されていない非固定鎖の結晶化挙動を世界で初めて比較した。末端固定によって結晶化可能な温度が非常に大きく変化することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
合成した試料のナノドメイン構造の規則性が当初の予想より低く、組成を変更して再度合成する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立したモデル光分解性ブロック共重合体の合成手法を活用して、末端固定が結晶化速度、融点、および結晶配向に及ぼす影響をさまざまなナノドメイン構造について系統的に調査し、末端固定の影響の全貌を明らかにする。
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Research Products
(4 results)