2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J10571
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細野 耕平 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | コルチコトロピン放出ホルモン / ストレス / メダカ / 脳 / 魚 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類のストレス応答を制御する脳内機構の解明を目的として、メダカ脳内で発現するストレス応答遺伝子であるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)とその関連遺伝子に着目し、本年度は以下の通り研究を行った。 まず、CRHとその関連遺伝子の機能を明らかにするために、ゲノム編集技術を用いて変異を導入したメダカ系統の作出を目指した。その結果、多くのCRH関連遺伝子について変異導入に成功し、一部の系統についてはライン化することができた。 また、我々の先行研究により、メダカ脳内でのCRHの発現には性差が存在することがわかっているが、その性差が生じるメカニズムについては不明である。我々は「生殖腺由来の性ステロイドが、CRHの発現に性差をもたらしている」という仮説のもと研究を進めている。この仮説を検証する目的でCRHと性ステロイド受容体の共局在の有無を確認したところ、CRHの発現に性差があった神経核では、すべてのタイプの性ステロイド受容体が発現していることが明らかとなった。この結果により、CRHの発現は性ステロイドにより制御されるという仮説が裏付けられた。さらに、CRHの推定プロモーター領域には2つのエストロゲン応答配列様の配列が存在すること、そしてこの領域を含むコンストラクトは、エストロゲンの作用により転写が抑制されることがわかっている。したがってこれらを踏まえると、2つのエストロゲン応答配列様の配列が、CRHの発現に性差をもたらす上で重要な機能を担っていると考えられる。そこで、これらの配列に変異を導入したコンストラクトを作製し、プロモーターアッセイをおこなった。しかし、その結果は予想に反したものであり、これらの配列はエストロゲンによるCRHの発現制御に寄与していないことがわかった。したがって現在は、エストロゲンが作用するシスエレメントが存在する範囲の絞り込みを進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想外の結果が生じたことにより一部の研究項目に遅れが生じているものの、ゲノム編集の導入とそれを用いた研究については当初の予定よりも進んでいる。したがって、総合的にみれば、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集技術により作出された変異体メダカについて、ライン化と表現型の解析を行う。また、CRHのプロモーターアッセイを進めることにより、エストロゲンがCRHの転写を制御する上で重要なシスエレメントを明らかにすることを目指す。これら2点を重点的に進めることで、CRHの発現制御機構と生理的役割の一端が明らかになると考えられる。
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Research Products
(2 results)