2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J10638
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 岳史 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 復興まちづくり / ガバナンス / コミュニティ再編 / 再定住化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災の津波被災地域(宮城県東松島市、名取市、女川町)を対象として、①復興に関与する主体間の政策決定と合意形成(ガバナンス)②被災者の生活再建に関する意思決定の検証を通じて、回復力(レジリエンス)を包含する地域復興モデルを構築することを目的とする研究である。 平成27年度は、調査対象地域で進捗している交通基盤整備および住宅基盤整備をふまえ、被災地域住民の再定住化が進むなかでの新たな住民間・官民間の利害調整の課題にかんするデータを取得することができた。平成27年度の調査から、申請者がこれまで観察・分析してきた、復興計画の策定や復興事業の推進における合意形成・住民参加の課題のほか、地域社会は再定住化が進む新居住地区における地域コミュニティの形成、旧居住地区におけるコミュニティの再編という津波被災地域に特有の課題に直面していることが明らかになった。 被災地域におけるコミュニティ形成および再編は、震災6年目以降の地域社会において顕在化しつつある医療福祉活動の活性化、産業の再生などの諸課題に自治体と地域住民が取り組むにあたって活動基盤を確立するための社会的課題であり、災害間比較・国際比較を進める上でも、記録・分析を進める意義を有する。 申請者はすでに平成27年度に実施した調査で得たデータをもとに、上記の論点について、第2回東日本大震災研究交流会(2016年3月14日、日本社会学会震災問題情報連絡会主催)で研究報告を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は東松島市、名取市、女川町におけるフィールド調査(ガバナンス調査)を実施した。具体的には、復興まちづくりに関与する市町行政当局、議会関係者、地域住民組織(町内会/自治会、祭礼関連組織、仮設住宅自治会等)、復興協議組織、産業団体、復興支援団体などへのインタビュー調査を実施した。復興協議組織への参与観察を継続的に実施し、フィールドにおける復興まちづくりの論点と課題の把握に努めた。また、現地図書館等にて震災以前の自治体が推進していた地域自治政策、産業政策に関する行政資料の収集を進めた。 他方で2017年度に東松島市で実施を予定していた「被災者の生活再建に関する質問紙調査」は、市担当者の意向をふまえ、実施を見送った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も、東松島市、名取市、女川町におけるフィールド調査(ガバナンス調査)を継続して実施する。 これまでの調査で知己を得た市町行政当局、議会関係者、地域住民組織、復興協議組織、産業団体、復興支援団体などへの代表者にインタビュー調査を実施し、地域によって異なる震災6年目の復興まちづくりの課題を抽出する。なかでも、コミュニティ政策・産業政策(水産業・観光業)・医療福祉政策に着目しつつ、住民間・官民間の協議体制を分析していく。 そして平成28年度は、当初平成27年度に東松島市で予定していた「被災者の生活再建に関する質問紙調査」を、当初計画で平成28年度に実施を予定していた名取市調査とあわせて実施する。調査の実施に際して重要になるのは市担当者および地域リーダーに調査の意義を説明し、協力関係を築くことである。そのために、すでに申請者らが実施した女川町における同調査の調査結果報告書をもとに、サンプリング作業にさきだち市担当者、地域リーダーに調査概要とその狙いを説明する。そして調査結果の開示・利用方法については、市担当者・地域リーダーの問題意識・要望を把握したうえで、適切な形で進めていく。
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Research Products
(8 results)