2016 Fiscal Year Annual Research Report
神経経済モデルとDecNef法を用いた衝動性の神経基盤解明
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15J10681
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 優 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | fMRI / 計算論的神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、不安を衝動的に解消しようとする行動が症状の基礎となる精神疾患と脳活動との関係を明らかにし、最終的には疾患の有効な評価及び治療へと繋がる手法を開発することを目的としている。対象とする精神疾患については、衝動性との関連がこれまで明示的に示されてこなかったものの、様々な生物学的・行動モデル的な知見からその関与が疑われる「強迫性障害」を対象としている。平成28年度は、研究計画遂行の上で重要な脳情報デコーディング技術およびその基礎となる統計的機械学習技術の開発・習得に主に取り組んだ。また、それら技術を適用することにより、高い精度で強迫性障害患者と健常者を見分けることが可能な脳活動を同定することに成功し、プレプリントとして発表、国際誌へと投稿した。また、健常者および精神疾患傾向のあるサブクリニカル群を対象とした行動実験およびfMRI実験の結果に対して解析を行い、脳全体のネットワークから構成される不安の神経基盤を明らかにした。この成果については年度途中で学会発表を行い、さらに次年度中には結果をまとめた上での国際誌への投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度前半は、治療結果の評価にあたり重要となる脳情報バイオマーカー技術の開発と、脳情報デコーディング技術の開発に取り組んだ。前者に関しては、安静時の脳活動を用いることによって、複数施設にわたって高い精度で判別が可能なバイオマーカーの開発に成功し、判別に寄与するネットワークがどのような脳部位に分布しているのかを検討した。これらの結果をまとめた論文はプレプリントとして発表、国際誌へと投稿した(業績1)。後者に関しては、脳全体のネットワークから効果的に特徴量を抽出することにより、被験者内に限らず被験者間にも共通する脳ネットワークが存在することを示した。また、それらのネットワークが米国Human Connectome Projectの大規模データにおける不安関連指標にも汎化することを示した。更に、国内のデータと米国のデータの両方に寄与するネットワークを用いることにより、強迫性障害患者と健常者の違いを同定することにも成功した。これらの結果をまとめた内容をIEEE日本支部NC研究会にて発表済みである(本発表により、IEEE Computational Intelligence Society Japan Chapter Young Researcher Awardを受賞)。これらの知見をもとに、年度途中に強迫性患者数名に対して、予備的なDecoded Neurofeedback実験を実施した。実験前後の脳ネットワークを評価した結果、不安に関わるネットワークが変化していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、Decoded Neurofeedback実験の実施方法・結果を見なおした上で、更に被験者数を増やして、国際誌への投稿を目指す予定である。また、不安感のバイオマーカーについても、追加解析を行った上で国際誌への投稿を行う予定である。
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Research Products
(1 results)