2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J10722
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
土師 慎祐 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 冷却原子 / 冷却イオン / 極低温化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では「単一イオンによる原子気体の高分解能プロービング」を実現することを目標とし、研究を進めている。本年度の研究では、「イオン・原子間の電荷交換散乱断面積のエネルギー特性測定」と「単一イオンの四重極子遷移の狭線幅分光」の二つの課題に取り組み、良好な実験成果が得られた。上記二つの課題は、原子気体の密度測定において中心的な役割を担うイオン・原子間の非弾性散乱過程の性質の評価、および単一イオンの微小領域への閉じ込めのための技術開発が行えたという点で、本研究テーマにおいて重要なステップであった。 特に前者に関しては、イオン・原子間の電荷交換衝突過程をミリケルビンから数ケルビンという広い衝突エネルギースケールにおいてその散乱特性の実測に成功し、本研究で用いている原子種およびイオン種間の散乱断面積を精密に決定する事が出来たため、当該研究分野においても大きな進展であったと考えられる。 本研究課題ではイオントラップ中の単一イオンが原子気体の密度分布を検知するための探針として機能するが、その空間的な広がりで密度分布の測定分解能が決定されるため、可能な限り微小な領域へイオンを閉じ込めることが望ましい。そのためにはイオンの有する狭線幅光学遷移を用いたレーザー冷却技法の導入が求められる。後者の研究課題ではそのために必要な基盤技術の確立や分光情報の収集を行うことが出来ため、目標達成に向け概ね順調に研究が進んでいると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、イオン原子間の非弾性散乱過程における物理特性の測定や、今後求められるイオンの極低温領域への冷却の準備ができ、目的達成に向けたステップが着実に踏めていると考えられる。そのため上記のような判断に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに準備した実験設備を駆使し、イオントラップ中で捕獲されたイオンを振動基底状態にまで冷却し、ナノメートルスケールの微小領域へ閉じ込めることで測定分解能の向上を目指す。
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Research Products
(3 results)