2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J10722
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
土師 慎祐 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 冷却原子 / イオントラップ / 極低温化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レーザー冷却された中性原子気体とイオントラップ中の単一イオンとの相互作用を詳細に調べた。イオン・原子間の相互作用においては弾性衝突過程や、イオンや原子の内部状態及び電荷量が変化するような反応性のある非弾性衝突が考えられる。本研究課題ではイオン・原子ハイブリッドトラップと呼ばれる装置を用いることで、こういった様々な衝突過程を極低温領域において観測することができた。 弾性衝突においてはイオン・原子間衝突によってそれぞれの運動量の交換が起こるため、一方を極低温状態に準備することで両者の熱平衡化によりもう一方の温度を下げることができる。これは共同冷却と呼ばれ、レーザー冷却に代わる新たな冷却手法として有望視されている。本研究では原子気体との相互作用がある状況下での単一イオンの運動状態の時間発展を測定することで、こういった共同冷却効果が存在することを実証することに成功した。また、ここでは非常に質量の小さなリチウム原子を原子種として選択しているが、これが決め手となり高効率な冷却を行うことができることも確認することができた。 非弾性衝突に関する研究では、イオン・原子間の近距離衝突(ランジュバン衝突)によりイオンの電子状態が変化するような過程を検出することに成功した。一般的には電子励起状態の寿命は数ナノ秒オーダーであり、イオン原子間の衝突時間スケールに比べて非常に短いことが知られているが、今回の試みではカルシウムイオンの有する凖安定状態(寿命1秒程度)を用いることでこういった非弾性過程を捉えることができ、その衝突係数を決定するに至った。これらの成果は本研究の目標である原子気体の高分解能プロービングや極低温領域における化学反応機構の解明のための重要なステップであると言える。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)