2015 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギーRIビームの多重クーロン励起を用いた不安定原子核における変形の研究
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15J10788
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 輪 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ガンマ線核分光 / 八重極変形 / データ取得系の高速化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、低速RIビームによる多重クーロン励起実験により原子核の様々な変形について探るため、必要な実験装置の開発や、対象とする核種を検討するための理論的及び実験的な事前研究を進めることが目的である。本年度は、低速RIビームによる多重クーロン励起実験を行うための検出器やデータ取得系の開発と、低速ビームを用いない手法による不安定原子核の変形の調査を進めた。 本研究で計画する実験手法では、クーロン励起によるインビームγ線を測定するため、位置分解能を持つGe検出器アレイであるGRAPE[1]を用いてドップラーシフトを補正するる計画である。位置検出精度向上のため、検出器の波形データのより高度な解析を考えている。このためのデータ取得系の高速化として、DSPモジュールのGiga bit ether化とSiTCPを用いる改良を実施した。また、散乱粒子検出器として用いるSi検出器のためのプリアンプのゲイン及びレート耐性の評価を行い、本研究科研費にて導入を行った。 また、低速RIビームによらない手法として、核異性体及びβ-γ核分光を用いた研究を理化学研究所のRIBFで行った。本年度はその解析を進め、これまで励起状態のほとんど知られていなかったZ=56から61の中性子過剰同位体で新たに多数の励起状態を発見した。特に、150Csからのβ崩壊の測定によって150Baの励起状態を初めて確認した。新しく見つかった150Baの励起状態の中には、八重極振動に起因すると考えられるものがあり、150Baに大きな八重極相関があることを示唆する結果となった。本研究の結果はこれまで理論的予測が難しかった八重極変形についての有用な実験データとなる事が期待される。今後より直接的に原子核の変形について知ることのできるクーロン励起実験が可能となれば、八重極のような高次の変形について理解を深める研究も行うことができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、新たな実験手法である低速RIビームによる多重クーロン励起実験に必要な実験装置の開発と、対象とする核種を検討するための理論的及び実験的な事前研究を課題としている。 新しい実験手法のための検出器やデータ取得系の開発については、当初計画していたデータ取得システム高速化のための改良と、散乱粒子検出のためのプリアンプの導入が計画通り実施できた。 事前研究に関しては、当初計画していた理論的調査に関しては現段階では核種の検討に有効な結果は得られておらず継続中であるものの、低速RIビームを用いない実験的な事前研究については、150Baにおける強い八重極相関を示唆する励起状態の発見など想定以上の成果が得られ、本研究で開発中の実験手法が確立した際の研究対象として非常に期待の持てる結果であった。 以上の通り、当初の研究計画の遂行に支障をきたす遅れもなく、全体として順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度改良したガンマ線検出器のデータ取得系に関しては、実験に向けて多数台を扱うための整備を行う。また、計画通り低速ビーム用のトラッキング検出器の開発を進める。 事前研究について、実験的調査に関しては本年度の成果を投稿論文にまとめる予定である。 理論的調査については、計画では四重極変形に注目しオブレート変形の現れそうな核種を探索する予定であったが、本年度の成果によりより高次の変形が発現していそうな核種が明らかとなったので、これらにも重きを置いていけるよう理論研究者との議論を行っていく予定である。
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Research Products
(12 results)