2015 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞を標的とした大豆イソフラボン代謝産物エクオールの抗糖尿病効果と作用機構
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15J10815
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
堀内 寛子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | エクオール / 大豆イソフラボン代謝物 / 2型糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン分泌 / 細胞増殖 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病の発症には膵β細胞量の減少を伴ったインスリン分泌不全が重要である。これまでに、大豆イソフラボンの腸内代謝物であるS-エクオールがcAMP-protein kinase A(PKA)シグナルを活性化して膵β細胞株INS-1の細胞死を抑制することを見出している。本研究では、S-エクオールが、①膵β細胞の細胞死、増殖、インスリン分泌に与える影響を個体レベルで検証し、作用機構を解明することと、②S-エクオールの相互作用因子を同定することを目的とする。 ①-1)in vivoにおけるβ細胞の細胞死と増殖へのS-エクオールの影響:マウスにS-エクオールを投与後、インスリンとKi67で共染色された膵島の割合からβ細胞の増殖能を評価した結果、S-エクオール投与による有意なβ細胞の増殖が見られた。現在、ストレプトゾトシンにより糖尿病を誘発したマウスにS-エクオールを投与し、血糖値への影響を観察している。①-2)β細胞のインスリン分泌へのS-エクオールの影響:S-エクオールはマウス単離膵島においてグルコース応答性インスリン分泌を促進し、PKAの基質であるCREBのリン酸化レベルを上昇させた。これらの結果から、S-エクオールがcAMP-PKAシグナルを介してインスリン分泌を促進することが示唆された。②in vitroにおけるS-エクオールの相互作用分子の探索と同定:INS-1細胞膜画分においてアデニル酸シクラーゼ活性およびホスホジエステラーゼ活性を測定し、S-エクオールがアデニル酸シクラーゼの活性化を介してcAMP-PKAシグナルを活性化していることを見出した。また、GPCRキナーゼ(GRK)ノックダウン時にS-エクオールによるcAMP応答配列(CRE)レポーター活性がさらに上昇した。これらの結果から、S-エクオールがGPCRを介してcAMPシグナルを活性化していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、動物実験において、S-エクオール投与によるβ細胞増殖能の評価とストレプトゾトシン誘発性糖尿病モデルの確立を実施したため。また、目的の一つであるS-エクオールのcAMP-PKAシグナル活性化機構の解明に関して、cAMP合成酵素アデニル酸シクラーゼや、その上流のGタンパク質共役受容体 (GPCR) が関与することを見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレプトゾトシン誘発性糖尿病マウスへのS-エクオール投与による血糖値改善効果を評価する。また、S-エクオールの作用標的の探索を行う。
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Research Products
(9 results)