2015 Fiscal Year Annual Research Report
心の理論の発達と社会的ストレスが利他行動に与える影響
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15J10877
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
藤井 貴之 玉川大学, 脳科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 利他行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、利他行動と社会的ストレスの関係における心の理論の役割を検討する実験を行うため、利他行動の指標となる課題と二次の信念理解を測定する課題の検討を行うため、課題の実施に要するマテリアルとPC上のプログラムの作成、ストレス反応を測定する機材の準備、および実験を実施するための環境設定を行った。心の理論の発達的変化が見られる児童期の子どもを対象として実験を開始しており、データの収集を継続している。 また、利他行動と心の理論との関連に関して、近年になってオキシトシンというホルモンが様々な社会性に影響を及ぼしていることが明らかになってきており、利他行動と関連することも示されている。また、このオキシトシンは人々が示す社会性における性差にも影響を及ぼすことが明らかにされている。本研究で検討を行う利他行動と心の理論の関連においてもこのオキシトシンホルモンが影響を及ぼしている可能性があり、特に子どもを対象とした利他行動におけるオキシトシンの影響は未だ明らかとはなっておらず、利他行動の生理的基盤としての影響は確認しておく必要があると考えられた。この点を確認するため、未就学児を対象として利他行動と唾液中オキシトシンの関連を検討するための調査を行った。この調査の結果から、未就学児における利他行動が唾液中オキシトシン濃度と関連し、性別ごとに関連の仕方が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
利他行動と社会的ストレスの間の関係における二次の信念理解の役割を検討するための実験(研究1)は実験参加者を募集中であり、実施途中でデータの収集を続けている段階であるが、 利他行動と社会的・非社会的ストレスの間の関連を検討するための実験(研究2)の準備と参加者の募集が進んでおり、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
利他行動と社会的ストレスの間の関係における二次の信念理解の役割を検討するための実験(研究1)について 、参加者の募集及びデータの収集を続ける。実験者に見られている状況で自身と他者の間で資源を分ける分配課題(独裁者ゲーム)と、二次の信念理解を測定する課題を実施する。また、課題遂行前後のストレス反応を測定するために、参加者の唾液を二度採取する。αアミラーゼの測定は玉川大学にて行うが、コルチゾールの測定は専門の業者に依頼する。得られたデータは専用のパソコンで解析を行う。参加者を二次の信念理解ができる群とできない群に分け、グループ別に利他行動と社会的ストレスの変化量の相関を調べる。実験結果について、国内外の学会にて発表を行う。並行して、利他行動と社会的・非社会的ストレスの間の関連を検討するための実験を行う(研究2)。参加者は大学生60名である。社会的ストレス・非社会的ストレスに関連する状況で自身と他者の間で資源を分ける分配課題(独裁者ゲーム)を実施し、課題遂行前後のストレス反応との関連を検討する。ストレス反応の指標として課題前後に唾液を採取する。αアミラーゼの測定は玉川大学にて行うが、コルチゾールの測定は専門の業者に依頼する。得られたデータは専用のパソコンで解析を行う。参加者を社会的ストレス条件群と非社会的ストレス条件群に分け、グループ別に利他行動とストレス反応の変化量の相関を調べる。また、グループ間での利他行動およびストレス反応の変化量における違いを検討する。研究1と研究2から得られた知見を基に、利他行動について心の理論の発達および社会的ストレスとの関係に基づいたモデルを検討する。
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Research Products
(2 results)