2015 Fiscal Year Annual Research Report
スピンドルチェックポイントによる動原体認識機構の解析
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15J10950
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 祐平 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / 染色体 / 動原体 / コヒーシン / Aurora B / チェックポイント / SAC |
Outline of Annual Research Achievements |
体細胞分裂において、正確な染色体分配を保証するためにスピンドルチェックポイント(Spindle Assembly Checkpoint; SAC)という監視機構が存在する。これまでの研究により、SACタンパク質のひとつであるMph1が動原体に局在することで下流の因子が呼び込まれSACが活性化することから、以下の3つのを研究課題とした。① Mph1の動原体局制御と微小管未結合動原体認識機構の解明 ② Bub1およびMph1によるSAC活性化機構の解明 ③ SAC以外のMph1キナーゼによるリン酸化基質の探索 ①別グループからMps1局在化機構が示された(Hiruma et al.,2015, Ji et al.,2015)ため残念ながらそれ以降の解析を断念した。②Bub1とMph1のキナーゼドメイン融合タンパク質を細胞に発現させ、常にBub1とMph1が近くにある状況を作り出したところ細胞周期が分裂期中期で停止した。このことから、SAC活性化のスイッチは、Bub1とMph1が近接することであるということが示せた。③分裂酵母を用いた遺伝学的なスクリーニングにより、Mph1破壊株の表現型を抑圧する遺伝子を発見、各遺伝子の解析は今後行っていく予定である。 また、染色体分配に重要なキナーゼAurora Bセントロメア局在化機構の全貌を明らかにするためにBub1とともにAurora Bの局在化に働くHaspinの局在制御機構を解析した。コヒーシン複合体のひとつPds5がHaspinと結合し局在に必要であることがわかっていたため、Pds5とHaspinの結合領域を詳細に解析したところ、真核生物間でよく保存された結合モチーフを発見した。このモチーフは他のPds5結合タンパク質にも保存され、Pds5の染色体上でのプラットフォームとしての役割が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、スピンドルチェックポイント因子Mph1の局在制御機構においては他のグループに先行されたため断念を余儀なくされた。しかし、Bub1-Mph1の融合タンパク質発現実験においては、予想通りの結果が得られ、また、Mph1の下流因子の探索でも機能未知遺伝子を含めた、Mph1破壊株の表現型を抑圧するような遺伝子の単離に成功している。また、当初の研究から発展し、コヒーシンPds5の染色体上でのプラットフォームとしての機能も明らかになってきた。よって、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Mph1の下流因子の探索によって得られた遺伝子群を、遺伝学的生化学的に解析していく。 また、解析の途中で得られたPds5の変異体と、Pds5相互作用因子との関連を調べていく。具体的には、Pds5がどのようにしてコヒーシンによる姉妹染色体の結合を制御しているのかを明らかにする。
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Research Products
(3 results)