2015 Fiscal Year Annual Research Report
風洞試験での柔軟構造・流体連成計測法の開発と超音速パラシュート周りの流体現象解明
Project/Area Number |
15J10969
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田口 正人 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 流体構造連成 / 超音速流れ / パラシュート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,パラシュートの様に流れ場中で刻一刻とその形状が変化するような系,すなわち流体構造連成問題に対して実験的な解析手法を与え,超音速パラシュート周りの流体現象を解明することにある.この研究のキーポイントは,模型表面の情報(温度・圧力)と模型の変形・運動を同時一体的に取得する点にあり,それは以下の3点に分けることが出来る.すなわち,(1)柔軟構造が流体中で受ける表面温度の計測手法確立 (感温塗料法の改良),(2)柔軟構造が流体中で受ける表面圧力の計測手法確立 (感圧塗料法の改良),(3)風洞試験への適用と空力による変形の非接触計測,である. 本年度は(1)に重点を置き,研究を遂行した.感温塗料法とは,温度によって発光強度の変わる塗料状の温度センサであり,近年風洞実験の分野で一般的となりつつあるセンサである.しかし変形する模型に適用することは従来法では困難であり,本研究では方法論を改良し変形する模型に適用可能な感温塗料法の構築を試みた.その方策として,従来1種であった色素を2種類に拡張し,基準値と測定値を同時に取得可能とした.そのための色素2種の組み合わせを総当り的に試し,最適な組を得た.改良した感温塗料法を実際に衝撃風洞をもちいた柔軟模型周りの空力加熱の評価試験に適用した.この試験では,(3)に挙げた模型変形の非接触計測を含む.結果として,加熱率による模型表面温度分布を計測することが出来た.また温度計測と同時に模型形状の変化を捉えることが出来た. 今後の方策として(1)の成果を基に(2)の圧力計測法開発を行い.その後,(3)について3次元形状計測を含む形状・圧力・温度同時計測を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最終目的は,パラシュートの様な柔軟な構造を持つ物体が,流体中でどのような流体現象に基づいて運動・変形し,その変化が空気力学的性能にどのようにフィードバックするのかを明らかにすることである.そのアプローチは以下の3点に大別される,すなわち,(1)柔軟構造が流体中で受ける表面温度の計測手法確立 (感温塗料法の改良),(2)柔軟構造が流体中で受ける表面圧力の計測手法確立 (感圧塗料法の改良),(3)風洞試験への適用と空力による変形の非接触計測,である.本年度はその第一段階として,感温塗料法を応用した模型表面温度計測の確立を行った.具体的には,色素の選定,計測光学系の確立,形態係数の影響の調査,そして実際の風洞試験への適用である.風洞試験の結果,模型の変形と温度計測を同時に行うことが可能であることを示すことが出来た.(2)の圧力塗料への拡張は本年度得た知見を応用することで達成できる見込みである. 以上から,全体の進捗としては最終目標の50%であると評価でき,概ね順調に進展していると云える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は柔軟模型の温度計測に重点を置き研究を遂行し,風洞試験に於いて,柔軟模型の表面温度と形状を同時に計測することに成功した.今後の展望として以下が挙げられる. 1)今年度培った基礎的な方法論を圧力計測に拡張する ⇒感圧塗料による圧力計測は,温度補正が必要なため,温度・圧力・形状の同時計測を目指す. 2)形状計測について,現状は2次元(射影)の形状の計測だが,2台のカメラを用い,塗料の塗布斑を利用すれば3次元digital image correlationを利用した3次元形状抽出が可能であり,関係技術を調査中である.
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