2015 Fiscal Year Annual Research Report
内的衝動とその認知処理に着目した衝動性の発現モデルの構築
Project/Area Number |
15J10974
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤尾 未由希 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 衝動性 / トゥレット症候群 / 内的衝動 / 神経心理課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な目的は, ①「衝動制御スペクトラム障害」に属する種々の精神障害および発達障害(例.強迫性障害(OCD),トゥレット症候群(TS),注意欠如多動性障害(ADHD))における内的衝動の差異について検討すること,②内的衝動の維持・増強に影響を与えていると考えられる注意の転換の困難さを測定する神経心理課題を決定し、予備的検討を行うことであった。 ①衝動制御スペクトラム障害内の内的衝動の同一性と差異を検討するため,OCD併発群,ADHD併発群,OCDおよびADHDを併発していないTS群で内的衝動の強さを比較検討した。その結果,ADHD併発群では攻撃性を帯びた衝動が高い一方,OCD併発群では身体感覚を伴う衝動が高いことが示唆され,衝動制御スペクトラム障害において,「強迫性」と「衝動性」の2つの軸が異なるタイプの内的衝動を高めていることが明らかになった。また,内的衝動が経過の中でどのように変化するか,変化に関連する要因が何か検討するために,以前研究に参加したトゥレット症候群患者30名への再調査を新たに計画,開始した。これまでに30名中15名に研究参加を依頼し,13名から協力を得ている。 ②TS患者に行ったインタビュー調査の結果から,他者の負の感情や,自分自身の負の感情が衝動制御の問題に影響を与えている可能性が考えられたため,表情などの情動を喚起する刺激を利用した課題が必要と考え,現在実験プログラムの作成を行っている。今後,大学生・大学院生およびトゥレット症候群患者数名への予備調査を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①内的衝動の変化に関連する要因を検討することで、研究課題に関する臨床心理学的知見がより深まると考えられ、本年度新たに質問紙調査を追加したこと、②刺激の選定および作成に計画よりも時間がかかったことから、当初実施予定であった神経心理課題を用いた実験の予備的検討の実施に至らなかった。しかしながら、質問紙による縦断調査を実施することで、内的衝動によって生じる衝動性についてより深い示唆が得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、27年度に引き続き、内的衝動の維持・増強に影響を与えていると考えられる「注意の転換の困難さ」を測定する神経心理課題について、大学院生への予備調査を実施する。その後、TS患者15名に研究参加を依頼、データの収集を行う。質問紙によって測定された内的衝動の強さと神経心理課題の成績の関連を検討し、内的衝動にもとづく衝動性の発現モデルを明らかにする。 また、27年度に縦断研究への研究依頼ができなかった15名のうち、転院/寛解などにより研究協力依頼が困難になった8名を除く7名のTS患者に質問紙への協力依頼を実施、データの収集を完了させる。内的衝動の変化の程度と、変化に関わる要因について分析を行い、その結果を国内学会及び国際学会で発表する。 以上の研究成果をまとめ、博士論文を執筆、提出することが28年度の目的である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Sensory phenomena related to tics, obsessive-compulsive symptoms, and global functioning in Tourette syndrome.2015
Author(s)
Kano, Y., Matsuda, N., Nonaka, M., Fujio, M., Kuwabara, H., & Kono, T.
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Journal Title
Comprehensive Psychiatry
Volume: 62
Pages: 141-146
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Tourette Syndrome and Comorbid Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder2015
Author(s)
Kano, Y., Kaji, N., Fujio, M., Matsuda, N., Nonaka, M., & Kono, T.
Organizer
WPA International Congress of Psychiatry 2015
Place of Presentation
Taipei
Year and Date
2015-11-21 – 2015-11-21
Int'l Joint Research
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[Presentation] Pharmacotherapy for Tourette Syndrome and Other Tic Disorders in Japan2015
Author(s)
Kano, Y., Matsuda, N., Kaji, N., Fujio, M., Nonaka, M., & Kono, T.
Organizer
8th Congress of the Asian Society for Child and Adolescent Psychiatry & Allied Professions
Place of Presentation
Kuala Lumpur
Year and Date
2015-08-21 – 2015-08-21
Int'l Joint Research
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